「幼児期の遊びから端を発して、子どもたちは『これを知りたい』『どうなっているんだろう?』という問いから、探究をしています。周囲の山から昆虫を採集し観察している子、戦艦好きで割り箸で戦艦を作って展示して、QRコードで感想を求めるなど、自分の“好き”を軸に突き進んでいます」と猪狩先生。
また、学校側が子どもたちに課す校則もない。もし、問題となる行動があれば、ビジョンである<「わたし」を大事にし、「あなた」を大事にし、みんなで未来を紡ぎ出す>から外れていないかどうかを、子どもたちも含めて、一緒になって考える。その議論の中で、子どもたちがルールが必要だと判断すれば自分たちで設ける。
変わるのが大変なのは子どもよりも大人?
子どもたちに委ねる学びへ転換していく上で最も苦労していることは、「教員の意識の転換だ」と猪狩先生は語る。
「子どもが学習者として自律することが、私たちが最も目指したいことです。そのためには、子どもを管理すべき対象ではなく、見守りながら舵取りを委ねていく存在へと見方を転換していかなければいけません。
本校はこれまで公立の小中学校で教えてきた教職員ばかりです。そこから、どう教育観を変えていくか。迷うことも多いですが、私たちがまず常識を変えないと、学びを変えることはできないと思うのです」
すべての子を「同じ教育」で揃えるのは無理がある
学び舎ゆめの森には全国からさまざまな背景を持った子どもたちが入学する。中には、発達の特性があったり不登校を経験したりした子もいる。当校では、そうした子どもたちが多様性を受け止め、一つの校舎で学んでいる。猪狩先生はこう言う。
「本校には前籍校で2年間不登校を経験した子どももいます。そうした場合、教室にいる子すべてを同じ速度や同じ習熟度で揃えるのは無理があります。一斉授業を否定するわけではなく、目の前の子どもたちの実態に合わせて効果的な方法を探っていくなかで、子どもたちが自分で選択する自由進度学習が必要となっているのです」



