子どもの多様化は、学び舎ゆめの森だけの特殊な状況というわけではない。日本全国の割合を中学校40人学級に落とし込んでみると、その中に不登校傾向にある子は6人、発達障がいの可能性のある子は2人、日本語を家であまり話さない子は1人、特異な才能のある子が1人、家にある本の冊数が少なく学力が低い傾向が見られる子どもが13人ほどいるといわれている。(図表1、左側)

個別最適な学び、つまり子どものそれぞれの状況に合わせた学びは、今後あらゆる学校で必要とされていくといえる。

子どもの不登校は9割が改善傾向に

学び舎ゆめの森では、0歳から15歳が集う環境で小学生が園児に読み聞かせをしたり、複数の学年で合同で算数の授業をしたりすることもある。こうした異年齢との学びも、“学年で揃える”ことに固執せずに、自分のペースを見出しやすい要因かもしれない。

こども園と義務教育学校が接続しており、交流もさかん
筆者撮影
こども園と義務教育学校が接続しており、交流もさかん

ちなみに、不登校でいえば、学び舎ゆめの森に入学した子どもの不登校の復帰率は7割超、改善傾向では9割を超えているという。もちろん、学校に戻ることだけが正解ではない。子ども自身に合ったそれぞれの居場所を見出していけばよいと、私は考えている。ただ、「学校が楽しい」と言い、通う子どもたちの姿は、保護者にとっても、先生方にとっても、嬉しいことであるのは間違いないだろう。

「評価しない大人」がいることの大切さ

学び舎ゆめの森の義務教育学校の教員やスタッフは30人弱。こども園は20人ほどだ。全教員・スタッフが子どもたちを把握できるよう、連携は密に行われている。特に重視しているのが、「DE&I(ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン)会議」である。ここには学年担当の教職員だけでなく、スクールカウンセラーや放課後児童クラブの職員なども入り、多面的に子どもたちを把握する。

当校は校舎内に放課後児童クラブが併設されており、スタッフが夕方だけでなく朝から常駐している。そのため、子どもが日中に一呼吸置きに児童クラブを訪れたり、朝の時間をこの場所でのんびり過ごしたりすることもある。「評価しない大人」のもとで、子どもが見せる顔もある。そうした子どもの多面性を拾い上げるのがDE&I会議である。

「新しく入学した◯◯さんは、こういう様子。得意なことは△△で、××には苦戦していました」
「今の◯年生の雰囲気はこんな感じだね。△△のような対応をしていきましょうか」といった話を、DE&I会議では毎週交わしていく。

子どもたちの居場所となっている放課後児童クラブ
筆者撮影
子どもたちの居場所となっている放課後児童クラブ