選んでもらいたい子の意思も尊重する
授業を3学年合同にすることで、個別対応が必要な子に、空いている教員がサポートしやすい体制をつくることもある。また、養護教諭は、「保健室にいない養護教諭を目指します」と言い、学級サポートに入っていることも多いという。DE&I会議を核にしながら、必要に応じて教職員全体が子どもたちに伴走できる仕組みを整えている。
子どもたちの綿密な把握は、学び舎ゆめの森の入学前からスタートする。面談はもちろん、子どもの慣らし期間として他の子どもたちと一緒に学ぶ時間も設けているのだ。「移住」という大きな決断をして入学する子どもたちが多いことから、親が行かせたいだけでなく、「子どもが本当にこの場所で学びたいか」を重視しているという。猪狩先生は、「お子さんにとって大きな決断になるので、何回いらしてもいいので、この学校で過ごしたいかどうかを見極めてほしい」と語る。
何度も確認に訪れ、学び舎ゆめの森での日々を見学した上で、「入学しない」と決断するケースもあるという。
「保護者の方と面談に来て、実際にお子さんが本校の子どもたちと関わったり、見学したりした上で、入学を見送ったご家庭もありました。理由は、『選択肢が多すぎて、子どもが迷ってしまう』ということでした。本校は、食事をとること一つとっても、『どこで食べる?』『誰と食べる?』などの自由があります。あらゆる生活や学びを子どもが自分で決めなくてはいけません。選ぶのが好きな子もいれば、指示されなければ動きにくい子どももいます。そういった特性から、学校とのマッチングを見ていってほしいと思います」
地域住民と一緒にゼロから町をつくる
学び舎ゆめの森の校舎の前には、戸建ての復興住宅が並ぶ。当校では、地域住民と交流できる機会を頻繁に設けているという。たとえば、音楽室と一体化した食堂は、窓を開けるとステージを外からも見られるようになっている。ライブのステージを町民と一緒に楽しむことができる造りだ。
実際に、教員のバンドと町民とが一緒に音楽活動をしたこともあるという。また、ピアノアジア大会で2位を受賞している教員がいた際にはピアノ演奏を聴きながら昼食をとることもあった。このように、随所で地域との共同を意識したスペースを設けている。
屋外と接続しているので外で調理した料理を食堂で、一緒に食べることもできる。実際に芋煮会をしたこともあるそうだ。「地域の中にある学校」を、校舎の造りとしても、行事や授業の教育活動においても体現している。


