上がっていく人はどこが違うか

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管理職に占める女性の割合
出所:厚生労働省「平成21年度雇用均等基本調査」(調査時期:2009年10月1~31日、回答企業数:4217社)

ここ数年で急激に企業のダイバーシティ・マネジメントへの取り組みが進み、管理職の女性も増えました。ところが、課長クラスに女性はたくさんいても、役員にはまだまだ女性が少ないのが現状です。その理由を私は、20人くらいまでのチームを動かす能力と、100人以上のチームを動かす能力はまったく別ものだからだと思っています。

10~20人くらいのチームなら、リーダーが優秀であれば何とか動かせます。しかし、それ以上の規模、特に数百人レベルになると、個人の優秀さでカバーするのは限界があります。むしろ、能力の高い人は完璧主義で人に任せることが下手な人が多いので、マイナスになるかもしれません。

このことを、私は初めて管理職になった35歳のときに学びました。当時初めて20人の部下を持ち、「ボスは部下より優秀であるべき」と思い込んで、すべて自分でやらなくてはと仕事を抱え込んでしまったのです。結果、部下の信頼を得られず、チームには問題が続出し、1年も経たないうちに管理職を降りてスタッフに戻ることになりました。その後5年くらいは「私は管理職には向いていないのだ」と思い込んで落ち込みました。

課長クラス止まりの人と、組織の中でポジションがどんどん上がっていく人とはどこが違うかといえば、前者は「本人の努力や優秀さ」だけでもやっていけるのに対し、後者は「組織をつくって動かす力」が求められます。

課長クラスであれば、部下が多少動いてくれなくても、本人が優秀なら仕事は回っていきます。ところが、部下が100人を超えると本人の優秀さではカバーできなくなる。