「小さな体で病と闘い、力いっぱい生き抜いてくれたのはすごいことだと、娘を尊敬しています」。そう語る父親は、娘をどう見送ったのか。2万人の葬儀に立ち会ったフリーの葬祭コーディネーターが語る、愛があふれる葬儀の光景とは――。

※本稿は、安部由美子『もしも今日、あなたの大切な人が亡くなったとしたら』(青春出版社)の一部を再編集したものです。

ヒマワリの花
写真=iStock.com/AlterYourReality
※写真はイメージです

あどけない顔立ちの遺影写真

その日は所用で外出中でした。バッグの携帯電話のバイブレーションが振動したのに気づいて電話に出ると、葬儀の司会依頼の連絡でした。

「亡くなったのは、2歳の女の子です。詳細はこれから打ち合わせしていただくことになりますが、気を遣う葬儀になると思います。どうかよろしくお願いします」

葬儀担当者のいくぶん不安そうな気持ちが携帯電話越しに伝わってきます。

通夜法要は午後6時からとのことでしたので、その1時間前に着くように葬儀場に向かいました。斎場からなるべく見えない駐車場の一角に車を停めます。運動靴からパンプスに履き替え、後部座席のハンガーから外したスーツの上着を羽織り、クリップで止めた打ち合わせ用紙を持って準備完了です。

斎場に入ると花祭壇には大きな向日葵ひまわりがたくさん飾られ、その周りを色とりどりの花が囲んでいます。中央に遺影写真が飾られていました。あどけない顔立ちの女の子が、弾ける笑顔で笑っています。黄色い髪飾りが、向日葵の色とリンクしてさわやかです。

私は遺影写真に向けて手を合わせ、心の中で自己紹介をしてから、「心を込めて精一杯にお見送りのお手伝いをさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします」そう伝え、深くおじぎをしました。

控え室へ向かうと、奥から幼いお子さまの笑い声が聞こえてきます。ご遺族にあいさつをして打ち合わせに入ろうとしたところ、先ほどから聞こえていた幼いお子さまの笑い声は、故人の双子の妹さまだとわかりました。