モチベ減退 CASE3

突然やる気の糸が切れました……がんばりすぎて電池が切れた

一生懸命取り組んでいたということは、始めたときにはモチベーションも体力もあったわけです。それが途中でやる気を失ってしまう理由としては、報酬系の刺激不足と肉体の疲労、両方が考えられます。

報酬系の問題としてはまず、「実際やってみたら、最初に思っていたとおりにならなかった」というケースがあります。たとえば「この仕事をやればみんなに貢献でき、褒めてもらえるだろう」と思ってやったのに、逆にクレーマーがいてケチをつけられたりしたら、やる気をなくしてしまいますよね。

同じ経験が繰り返されることによって刺激が薄れ、報酬が「目減り」してしまうこともあります。

欲しい服があって、それを手に入れるために調べまくり、あちこち回って何とか手に入れたとしましょう。その服を実際に手に入れたときはとてもうれしいと思います。しかし、いったん欲しい服を手に入れてしまうと、次に別な服を手に入れようと探しても、最初のときほどモチベーションが上がらないことが多いのではないでしょうか。

それは自然なことで、ご褒美は自分にとって新鮮な刺激であることが大事なのです。

ただ、どんな報酬も時間とともに目減りするのかというと、これについてはケース・バイ・ケース。次第に刺激が薄れていく場合もあれば、変わらずに続く場合もあります。

たとえば仕事量に比例してお金がもらえると、ある程度まではやる気が増します。しかしもらえる金額が増えていき、「これ以上もらっても同じかな」となってしまうと、金額はご褒美として機能しなくなってしまいます。

一方、中には研究者など、同じことを続けていても、モチベーションがいつまでも落ちない人がいます。

そういう人の多くは「それをすることが楽しい」と感じています。行為それ自体が報酬になっていると、同じことを続けても飽きません。それは傍からは同じ行為に見えても、内面的にはそこから常に新鮮な刺激を受けているからだと考えられます。

逆に「同じことをしているとモチベーションが続かない」という人は、気持ちのままに新しい対象を追いかけていけばいいでしょう。新しい情報に敏感で、興味の対象が常に変化している好奇心旺盛な人は、年を重ねても前向きな姿勢が変わらないものです。

がんばりすぎると反動が来る

がんばっていたのに途中でやる気がなくなった場合、脳または体力が尽きてしまったことも考えられます。

職種によっては、繁閑の差が激しいことがあります。大事なコンペの前などには、夜中になっても「まだできる」と徹夜続きで仕事していたのに、あるとき突然やる気が起きなくなってしまう……。

これはよくあることで、人間の活動エネルギーは肉体的にも精神的にも容量が決まっていて、がんばりすぎると反動が来るのです。一言で言えば疲れが抜けていないので、1週間も休めばまたやる気が出てくるでしょう。

精神医学的には「反動で何日も放心状態になるほどがんばるのは、心の健康によくない」と考えられています。できればあまり大きな波をつくらず、毎日淡々と仕事をこなすことが望ましく、たとえ「今日は10できる」と思っても無理せず5で抑えておく、というのが健全な働き方です。

テンションを上げて、エネルギーすべてを費やすまで限界までやり尽くしてしまうというのは、むしろ効率がよくないのです。

【原因】「ご褒美」不足 or 体や脳の疲労
【対策】新鮮な「ご褒美」を用意しほどほどのテンションで仕事をする
(構成=久保田正志)
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