資料を作らなければいけないのに、ついギリギリまで放置してしまう。スポーツジムに入会したのに、いろいろ理由をつけてサボってしまう。こんな経験の原因は、あなたが「ナマケモノ」だからではなかった! 「プレジデント」(2022年9月30日号)の特集「毎日が楽しくなる やる気革命」より、記事の一部をお届けします――。
やる気が出ない
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やる気が出ないとき、私たちは「自分の意思が弱いから」「私はなまけ者のダメ人間だ」と自責の念に駆られがちです。でも悪いのは、本当にあなたの性根が根性ナシだからではありません。「やる気=モチベーション」が失われてしまうのは、人体機能のメカニズムに理由があります。

「報酬系」がやる気をコントロールしている

私たちの脳には「報酬系」と呼ばれる神経回路があります。この回路は自分の欲求が満たされたときに活性化して、ドーパミンなどの神経伝達物質を放出し、幸福感や心地よいという感覚を引き起こします。

「やる気が起きる」というのは脳内でこの報酬系のメカニズムが働くためと考えられています。

自分が何かしたことでよい結果が得られると、うれしかったり、ワクワクしたりして、「また次もやるぞ」というモチベーションが高まりますね。これは、うれしいことがあるとドーパミンが出て、その結果ドーパミンの放出を再び求めて、脳が同じことをやりたくなるのです。

ドーパミン放出のきっかけとなるのは、脳にとっての「ご褒美」です。

ご褒美にはさまざまな種類があります。成果やお金、スキルアップが得られることもそうですし、褒められたり、人が喜んでくれることもご褒美になります。単純に「それをやっていると楽しい」とか「気持ちいい」といったポジティブな感情も大事なご褒美です。「これをすると、こんなご褒美がある」と頭でわかっていることで、やる気が生まれます。

逆にこの報酬系が機能していないと「何をしても報酬が得られない」ことになり、やる気もなくなってしまいます。ご褒美が得られない状態が続いていると、どんどんモチベーションは目減りしていくのです。「資料を作ったところで特に褒められない」「ジムに行っても全然痩せない」「資格試験まで先が長い」といった、ご褒美がおあずけであるどころか、あるかどうかもわからない状況に、脳の「報酬系」への刺激がなくなり、モチベーションが損なわれているのです。

報酬系のシステムを上手に活用するには、つねにワクワク感を得られるようにこまめにご褒美を与えることです。

健康のために運動を始めるのであれば、それを「義務」と捉えるのではなく、運動によって爽快感を得たり、体調が整うことで気分がすっきりしたり、仕事のストレスを忘れ気分転換ができたりといった、自分への「ご褒美」を考えながら取り組んでみましょう。

私の場合でいうと、YouTubeでチャンネルを開設しているのですが、そこでは登録者数が少しずつ増えていくのを見ることが楽しみで、それが「続けよう」というモチベーションになっています。また「いずれ収益化を狙ってみようか」といった、新たな目標を立てることによってもワクワク感があり、ご褒美を得ています。

「プレジデント」(2022年9月30日号)の特集「毎日が楽しくなる やる気革命」では、高齢でも才能開花するマインドセットに迫る「脳科学で解明!何歳になっても、エネルギッシュな人の共通点」、学会の総力を結集した「『無気力、燃え尽き、メンタルブレイク相談』何でもQ&A」まで、無敵のモチベーションキープ術が満載です。