2012年4月5日(木)

なぜ超低金利時代に新築を買ってはいけないか

PRESIDENT 2012年3月5日号

著者
長嶋 修 ながしま・おさむ
不動産コンサルタント、さくら事務所会長

長嶋 修1967年生まれ。99年に業界初の個人向け不動産コンサルティング会社「株式会社さくら事務所」を設立。マイホーム購入への助言や社会への政策提言などを行う。『「空き家」が蝕む日本』(ポプラ社)、『住宅購入学入門』(講談社+α新書)など著書多数。

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不動産コンサルタント、さくら事務所代表 長嶋 修 構成=村上 敬
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今は住宅購入によい条件が揃っているといえるでしょう。なんといっても魅力的なのは歴史的な低金利です。住宅ローンは長期国債などの金利と連動しますが、現在は超低水準が続き、住宅ローンもその恩恵を受けています。

さらに国は住宅購入者に向けてさまざまな優遇措置を用意しています。「住宅ローン控除」でローン残高の1%分の所得税を10年間軽減してくれるほか、「印紙税」「登録免許税」「不動産取得税」「固定資産税」についても軽減措置があります。また「フラット35」を販売する住宅金融支援機構には、国庫から数千億円の資金が入っています。不況時に不動産市況を活性化させるため、本来、住宅購入者が負うべき負担のかなりの部分を国が実質的に肩代わりしてくれているのです。

ただしこういった条件のみを見て、千載一遇のチャンスといえるかというと疑問です。そもそも住宅価格とは、次に挙げる2つの方向から決まります。1つは、土地や建物にかかったコストから決める供給側からのアプローチ。もう1つは、購買層が実際にどれくらいの金額を支払えるのかという需要側からのアプローチです。このうち低金利が有利に働くのは後者です。

たとえば頭金500万円で毎月10万円のローン返済能力のある人がいたとします。金利2%のときに期間35年のローンを組むと、約3000万円を借りることができます。これに自己資金を足して、物件価格3500万円のマンションが買えることになります。

しかし、金利が4%に上昇すると、同じ支払い能力のある人でも2260万円までしかローンを組めなくなります。自己資金を足すと2760万円です。需要側の借り入れ可能額が減れば、実質的に需要も下がりますから、供給側は物件価格を適正な価格に下げざるをえません。

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