要するに今は諸条件が整い、金利が低いため、ローンは組みやすいのですが、それによって物件価格が高止まりするため、需要側としては高いところで買うことになるのです。

金利が上がれば物件価格は下がり、逆に低金利は物件価格を押し上げる要因になります。つまり歴史的低金利の今、家を買えば、フロー(毎月の支払い)面では得をしますが、ストック(物件価格)で考えると、高値でつかんで将来の値下がりリスクを抱えることになるのです。

ならば金利が上昇して物件価格が下がってから購入したほうがいいのか。現金で買うならそれも選択肢の一つです。ただ、多くの購入者は資金の大部分をローンに頼ります。そうなるとローン部分が大きいほど、金利上昇後の購入は、ストックで得してもフローで苦労してしまう(変動金利で購入した場合)。低金利の恩恵を受けてローンを組みつつ、資産価値の落ちづらい物件を選ぶのが現実的な方法でしょう。

では、どういった物件なら資産価値が落ちづらいのか。マンション価格は、新築から10~15年かけて急激に下がり、その後はなだらかに落ちていきます。そう考えると築10~15年程度の中古が狙い目かもしれません。耐震基準が変わった1981年6月以前に建築確認を取った建物は寿命が45~55年前後だといわれていますが、それ以降の設計基準で普通に工事を行い、修繕などのメンテナンスをきちんとやっていれば、100年前後はもつ物件も。

90年代半ばは、バブルが崩壊して大企業が放出した都心の優良立地にマンションが続々と建ちました。建物の寿命を左右する上下水道の配管の材質も、この時期から徐々に変わり始めました。こんな背景を踏まえても、10~15年落ちの中古マンションには、金利上昇によるマイナスの影響を受けにくい物件が比較的多いでしょう。

(構成=村上 敬)