つまり、現在の70代のコーホートでは過去10年間に携帯電話を利用する人が増えてきたのに対し、インターネットを利用する人は増えてこなかった。携帯電話の機能は固定電話から類推でき、操作も簡単にできるが、インターネットは操作の習得も難しく、メリットを感じるキラーアプリケーションがないため、利用者が増えなかったのだろう。

70代へどうアプローチをするか

以上の分析等をもとに70代へのアプローチを考えてみよう。結論を言えば「健康と楽・安を提供するモノ・サ-ビスが拡大する」ということだ(図表4)。健康になる、低労作(身体負担が低い)、楽しく、安心であること、逆に、高労作(身体負担が高い)でなく、不信・不安を抱かせないことが重要だ。

mifプラチナによれば、年齢に高くなるにつれ、イノベータ(新しいものを進んで採用する人たち)が少なくなっていく。新商品を購入しても役に立たないのではないか、操作方法を習得できず無駄になるのではないか、その商品の使用で何か問題を起こさないかなど、不信・不安でためらっているのであろう。

したがって、70代向けにモノ・コトを導入する際には、健康、低労作、楽しさ、安心を打ち出すとともに、不信・不安を払拭することが重要だ。例えば、健康につながるフィットネス・高品質食材、楽しさにつながる同窓会など旧交を温める旧交会、低労作で買い物に行けるコンビニエンスストアなどは拡大が見込まれる。

これから70代を迎える団塊の世代にも、上述のことは言えるのだろうか。イノベータが減少することは変わらないので、不信・不安の少ないことは必要だ。例えばインターネット利用率は先行する世代より高いが、ネットに対する不信・不安感が高まる傾向にある。ネット関連ビジネスでは高齢者に不安を抱かせないサイトの構築が望まれる。挑戦しがいのある分野と言えよう。

また、団塊の世代では運転免許保有率は高くなり、高学歴化は進み、自動車、芸術などの市場が拡大することは間違いない。とくに団塊世代の女性の運転免許保有率は高いので、女性向けの安全装備搭載車に対するニーズは高まるだろう。

佐野 紳也(さの・しんや)
三菱総合研究所 主席研究部長。1956年、神奈川県生まれ。78年、慶應義塾大学経済学部卒、三菱総合研究所入社。現在、プラチナ社会センター 主席研究部長。消費、社会、人口、情報通信等の調査研究、コンサルティングに従事。2010年より日本最大規模の生活者情報データベース「生活者市場予測システム(mif)」の開発・運営を担当。著書に『3万人調査で読み解く日本の生活者市場』(日本経済新聞出版社)などがある。