◎細かいタスクをつくる

スケジュールの基本になるのは、いつまでに仕事を遂行するといった長期の計画である。そこに至るまでの道筋を中期計画、直近にするべきことを日々のタスクとして落とし込むのが時間管理の王道だ。このタスクによって一歩目を踏み出せると、同時にモチベーションが上がりやすくなる効果があるという。

「本来、『これを実行すればこんなご褒美がもらえる』と想像し、脳の報酬系の神経ネットワークが活発になってから人は動きだします。つまりモチベーション→行動という流れが一般的。

しかし、面倒だと思っていたアイロンがけを1枚やりだすと何枚もやってしまうように、先に行動を起こすことで報酬系が働きだし、モチベーションが上がる逆向きもあるんです。やるべきことを細かく分け、実行しやすいタスクをつくると、モチベーションも高まり積極的に取り組めるはずです」

そしてタスクリストは定期的に見返す習慣も身につけたい。それによって予定を忘れにくくなり、その源になる長期の計画を意識して、全体的な方向性を見誤らなくなるからだ。

◎タスクは具体的に記す

自分が何をすればいいのか、どこまでやればいいのかが明確でないとき、人はあれこれと周辺のことも考えながら仕事を進めていく。そうなると処理すべき情報が多くなり、ワーキングメモリに余裕がなくなる。これは「認知負荷が高い」と呼ばれる状態であり、「嫌だ」「面倒くさいな」という心理につながりやすい。

「タスクが具体的であればあるほど、記憶を掘り起こしたり、ものを考える手間が省かれるため、前向きな心理を招きやすくなります。『今日11時から打ち合わせ』という行動予定だけのタスクをつくらず、『いつ・どこで・誰が・何について』などの情報を明記しておきましょう」

タスクを上手に書くコツは、将来の自分は赤の他人だと想像して、その人に申し送りをするぐらいのつもりで書くこと。自然と予定の中身を具体的に記すようになる。

◎紐づけして覚える

実は、記憶は過去のものとは限らない。これから何をするかという将来の予定を覚えるのも、展望記憶と呼ばれる記憶の一種なのだ。

「ただし『いつ、何をする』と漠然と覚えているだけでは、忘れてしまうことが多い。なので、スケジュールを思い出すきっかけをつくっておきましょう。役に立つのが、スケジュールと別のものを関連させて覚える『紐づけ』。たとえば降りる予定の駅の看板とそこから人に会うイメージを重ねていっぺんに覚えようとすると、思い出す手がかりが生まれやすくなります」

枝川義邦
1969年、東京生まれ。脳科学者。早稲田大学研究戦略センター教授。専門は脳神経科学。近著に『「覚えられる」が習慣になる! 記憶力ドリル』(総合法令出版)など。
(Getty Images=写真)
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