「いま困っている」は信頼を寄せたサイン

ときには、こちらから会話のボールを投げるのもいいでしょう。私は「御社の取り組みを聞いて、××社の方針を思い出しました」と、ほかの業界や経営者と比較して話すことがあります。アップルやGEといったエクセレントカンパニー、またはスティーブ・ジョブズやウォーレン・バフェットといった名経営者と比較されれば、不快感を持つ人は少ないはずです。

ただし、突拍子もない比較ではダメです。相手の仕事を深く理解したうえで、納得感のある事例を紹介する必要があります。日頃から、ビジネス書を読んだり、経済ニュースをチェックしたり、情報収集に励むことで、相手が共感しやすい仮説を準備しておきましょう。

よく勘違いされがちなことですが、一緒に過ごした時間の長さと信頼関係は比例しません。夜を徹して酒を飲んだ。ゴルフコースを一緒に回った。だからといって、ビジネスが始まるかといえば、それは別です。

信頼を寄せる相手に、人は何らかのサインを発します。姿勢が前のめりになった。自分のことを詳しく語りだした。サインは様々です。一番わかりやすいのは、「いま困っていることを話す」というサインです。ここで相手の困りごとを解決できるかどうかで、それからの関係性が決まります。自社の商品で解決しないのであれば、他社の紹介でも構いません。「こいつは頼れる」という印象は、必ず次のビジネスにつながります。

毎回の商談はそこまでうまくいかないかもしれません。それでも別れ際には、「話が終わらなかったですね。また改めてお時間をください」「ご紹介したい人を思いつきました」。そう言って次回の約束を取りつけましょう。未来の顧客をつくるのは、地道な積み重ねです。

▼営業では「聞き上手」を目指せ

[1]信頼を得るきっかけをつくる
・相手の会社を褒める
・わからないことは聞く
・担当者への関心を示す

[2]相手の「サイン」を見逃さない
・話を聞いてくれる
・姿勢が前のめりになる
・自分から話し出す

⇒「相手の発言」が7、「自分の発言」が3を心がける