人工知能という脅威の波が押し寄せてきたとき、一度だけ大学で教育を受けるとか、1回だけ学位を取得するということでは足りません。また、変化の激しい時代において、社会人が2年間も海外に留学するという形では、個人にとっても企業にとってもコスト、時間、成果のリスクが大きすぎます。人間は、通勤時間中でも、トイレでも、どこにいても常に学習し、進化し続けなければなりません。

人工知能はあなたの会社にやって来ます。これは、既存社会の破壊であるかもしれません。しかし、人工知能の可能性をオープンな考え方で受け止めてください。頭にコンピュータを着けることによって、すべてを記憶し、すべての人を認識することが可能になります。人工知能は私たちの脳を進化させ、そして1000倍賢く、知性を富ませてくれるものです。人工知能を搭載した道具をうまく使いこなしながら、常に最先端に立てるよう、自らの生産性を引き上げてください。今後、進化をし続けない従業員は、いらなくなるのですから。

Sebastian Thrun(セバスチャン・スラン)
自動運転自動車をはじめ、テクノロジーの境界線をなくすための研究・開発を行う「グーグルX」の創設者。プログラマー、ロボット開発者。スタンフォード大学に勤務し、人工知能の研究を続けていたが、将来のAI社会を見据え、人間の生産性を高めるために、低価格で技術系の教育を与えるユダシティーを設立。最高経営責任者に。
 
(小澤啓司=構成 葛西亜理沙(スラン氏)=撮影 ロイター/AFLO、Google/AP/AFLO=写真)
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