人工知能に負けない働き方とは?

16年1月28日付の日経新聞朝刊では、グーグルが開発した人能知能「アルファ碁」が、世界で初めて囲碁のプロ棋士に勝利した記事が掲載された。局面の数が天文学的数値になるため、チェスや将棋より難易度が高く、人間に勝利するのは10年先とみられていたが、人工知能が人間の脳のように自ら学習し、能力を上げていくディープラーニングで、ただ局面を覚えるのではなく、経験をもとに次の手を考えるという。では今後、人工知能が台頭する中でもなお残る職業、新たに生まれる職業とは、どんなものが考えられるのか。

「人と人との交流――たとえば人工知能で皮膚がんの診断ができたとしても、医師が患者を診るというヒューマンタッチは置き換えられません。また、人工知能の進化のためにもエンジニアは必要です。インスピレーション(ひらめき)を受けたり、新しいことを創造する力となると、まだ人工知能はそこまで至っていません。

人間の新たな仕事はもちろん生まれますが、なにより、働き方が大きく変わります。それが『オンデマンド雇用』です。オンデマンド雇用とは、企業が必要になったときにだけ労働者を採用する方法です。つまり、労働者はフリーランサーみたいなものです。

企業側にしかメリットがないように思われるかもしれませんが、そうではありません。労働者の側から見れば、今週はホテルの支配人をやろう、来週はタクシーの運転手に、再来週は皮膚科の医師になろう、といったことも可能となるかもしれないからです。

今、アメリカにおける平均在職期間は4年半だそうです。それが数カ月とか、数週間という短さになるのです。職を失いやすいが、転職しやすい、そんな社会になります。

われわれは、すべての固定観念を捨ててポジティブにこの社会変化を受け入れるべきです。さまざまな仕事にチャレンジできるようになるのは、人工知能があればこそ。

ただし、人工知能がどんどん賢くなると同時に、人間もどんどん賢くならなければなりません。生涯教育がますます重要となります。