ここで重要なのは、今回は全員何かしら購入しているという事実だ。つまり「Cだけグループ」以外の人はすべて「少なくともAまたはBどちらかを購入したグループ=40%」ということになる。

つまり、「商品Aを購入した人48%、商品Bを購入した人30%、商品Cを購入した人78%」という数字は関係ないことになるわけだ。ひっかけ問題のようでもあるが、ざっくりとした図を描くのではなく、漏れなくダブりなく整理することに注意してアプローチすれば、30秒もかからず解を得られるはずである。

このように、こんな簡単な算数を使ったワークであっても、その人が論理的に考え、少々複雑な状況を整理して正しい筋道を立てられる人物かがわかってしまう。実際、このワークでベン図を描いた後にじっと考え込んでしまう人物はほぼ間違いなく、職場での成果もイマイチの人物なのだ。

組織のなかで部門を預かるリーダーが、算数レベルの数字力と思考力がないとするなら、企業の経営陣にとっては極めて恐ろしいことだと思う。しかし、心配には及ばない。いまから数学を勉強する必要などまったくなく、算数レベルの知識を活用できる訓練さえすればいい。それが私の提唱する「数字力トレーニング」なのだ。

(構成=田之上 信)
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