亡くなる人は増えるが後継ぎは減る。社会の急速な変化にあわせて、介護、葬式、墓の常識は今、ここまで激変した!

【QUESTION】田舎に行くのは大変、先祖の墓を整理するには?

こんな悩みを持つ人は少なくないだろう――。遠く離れた田舎にある先祖代々の墓。両親も眠るだけに、かつては毎年お盆には墓参りを欠かさなかった。だが、田舎に親しい親せきがいるわけでもない。遠距離移動し、ホテルに泊まってまでとなると負担が大きい。最近では3年に一度くらいしか菩提寺を訪ねていない。子供たちは転勤が多く、引き継ぐのは無理。とはいえ、無縁墓にするのも忍びない。何かいい手立てはないものか……。

これを解決する一つの手段が、“お墓の引っ越し”である。エンディングコンサルタントの佐々木悦子さんによると、「墓石ごと移動することもできますが、費用や移動先の事情などにより、遺骨のみ移すケースが多いです。これを『改葬』と呼びます」とのこと。

では、先の案件を解決するにはどんな改葬が考えられるだろうか。

「たとえば、ご自身と一緒に生活したことのある両親や祖父母の遺骨は、現在の住まいに近い公営墓地や霊園、寺院墓地にお墓を建てて埋葬し直す。そして、さらに上の世代のご先祖さまの遺骨については、菩提寺などの永代供養墓に埋葬し直す形があります。もし跡継ぎがいないとか、住まいの近くに墓を建てても子供たちが管理できなくなることが明らかな場合は、すべてを永代供養墓に移してしまうことも考えられます」

表を拡大
改葬手続きの流れ

永代供養墓は、墓地の管理者が永代にわたって供養と管理をしてくれるものだ。さまざまなタイプがあり、たとえば、墓碑などのモニュメントの下に納骨室をつくった共同の大きなお墓のようなものや、納骨室と散骨スペースから成る納骨堂のようなものから、個人や夫婦だけで入れる単独墓もある。

納骨の仕方としては、最初から遺骨を骨壺から出して埋葬する合祀をとる形や、はじめは遺骨を骨壺に入れて個別に安置し、17回忌、33回忌、50回忌など一定期間が過ぎるとほかの遺骨と一緒に合祀する形などがある。単独墓の場合も、一定期間を過ぎると合祀されるのが一般的だ。

費用は当然安い。一体あたり、一式で30万円から50万円が平均的とされており、最初から土に返す合祀であれば一体あたり10万円程度ですむ。

一方で、改葬つまり遺骨の移動は勝手にやってよいものではない。菩提寺や霊園など墓の管理者から許可を得たり、役所への届け出などが必要だ。上の表に手続きの流れの一例を示しているので、参考にしていただきたい。全体でかかる費用はケースによって大きく異なるが、現在の墓地の墓石を解体処分し更地に戻す(墓じまいともいわれる)費用や閉眼法要などの費用、新しい墓地にかかる費用や開眼法要の費用など、一般には200万~300万円ほどかかるといわれている。

【ANSWER】永代供養墓を活用するなど墓の引っ越しをする。

日本エンディングサポート協会理事長 佐々木悦子
エンディングコンサルタントとして、全国各地で葬儀やお墓の勉強会を開催。著書に『知っておきたいお葬式Q&A』など。