ギリシャの財政悪化と、日本の消費税引き上げ

エコノミストの中には、「今でこそマーケットは平穏だが、いつ財政の不均衡のために金利が高騰するかわからない」という人もいる。本当にそう思うなら、国債を空売りすればいいだろう。国債金利の高騰とは国債価格の暴落だ。空売りしておけば大儲けできる。

国債価格が暴落すると脅かそうとするオオカミ少年的エコノミストは、みな口だけの評論家であって、自分で自分のいうことを信じてリスクを取っていない(そうでない人がいたら教えてほしい)。実際にリスクを取って市場で日本国債を売買しているプロのトレーダーたちは、どこの国の国債よりも日本国債を信用している。だから日本国債の金利は世界一低いのである。

もう一つ、ギリシャと日本で決定的に違う点がある。

日本では安倍政権の登場により、アベノミクスの第一の矢、黒田東彦総裁率いる日本銀行による積極的な金融緩和によって、日本経済を活気づかせることに成功した。これは円という単独通貨ゆえに、自らの意思で金融緩和を実行できたからだ。

ECBは、金融政策をギリシャの個別の事情に合わせてはくれない。(写真=時事通信社)

ギリシャには同じことはできない。ギリシャの金融政策はECBによって決められ、ECBはユーロ全体の景気や雇用状態を見ながら金融政策を決定しており、ギリシャの個別の事情に合わせてはくれない。

ギリシャ国民の生産性を考えれば、本来は中央銀行がもっと緩和的な金融政策を実施し、通貨価値を下げることで国としての競争力を高める必要がある。現状の為替レートでは、ギリシャは輸出入のバランスが取れず、経常赤字を続けることになる。