パソコンが不眠も引き起こす

小さな穴から入る細い光は、どこにでもピントが合う「ピントフリー」のピンホール効果が得られる。この原理を応用した老眼治療が「アキュフォーカス(角膜インレー)」だ。直径3.8ミリ、中央に1.6ミリの穴が開いたドーナツ状の厚さ5ミクロンの黒いシートを片方の目の角膜の中に挿入する。まだ手術を受けられるところは限られているが、南青山アイクリニック(東京・港区)では自費で30万円ほどである。

老眼のあとにやってくるのは、白内障。水晶体がさらに変質して濁りが生じてくる。視力が低下してきたら、手術で濁った水晶体を摘出して、人工の眼内レンズを挿入する。その際に遠近両用眼鏡のレンズのような「多焦点眼内レンズ」を挿入すれば、白内障と老眼を同時に解決することが可能だ。保険適用外で片目で60万円ほどする(一部先進医療が適用されるものもある)。

ドライアイを防ぐ!坪田教授発案の機能性メガネ フロントフレームの側面に着脱可能のウォーター・ポケットを設けることで、注ぎ入れられた水が容器内の細かな穴から蒸発し、目の周囲に適度な湿気を保つ。(写真提供=JINS)

多くの人が悩む「ドライアイ」も、加齢と関係している。肌の乾燥のように、年を取ると目も乾きやすくなるからだ。涙は目の表面を保湿して保護し、より質の高い視力を得るために重要だ。目の表面が荒れると、目の不快感のみならず、かすみ目などの視力低下を招く。目の保湿対策に機能性眼鏡(「JINS Moisture」)を使用するのもいい。眼鏡フレームの側面のポケットから水が蒸発して目の乾燥を防ぐものだ。

年を重ねると「不眠」で悩む人が増えてくる。そこで気をつけたいのが「光」だ。日光に含まれる「ブルーライト」が目から脳に伝わり、体内時計が調整され体が昼のモードになる。ところが近年の薄型テレビ、パソコンやスマートフォンの画面などからこのブルーライトがたくさん出ており、不眠や生体リズムを狂わす要因と考えられている。就寝の3時間前からこれらの使用はやめ、やむをえない場合は、ブルーライトをカットする眼鏡を使用するなどの対策も必要であろう。

(吉田茂人=構成 小倉和徳=撮影)
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