相手の「YES」を引き出す質問術

「悩んでいて躊躇している間に時間は過ぎていってしまう。でも、お金は投資してもまた稼げばいい。取り戻せないのは人生の時間だけです。」

心理学では質問の形は大きくわけてふたつあげられる。まずは「好きですよね?」「ここまでおわかりですか?」などの質問でYESかNOかで答えを引き出すクローズドクエスチョン。ふたつ目は「どう思いますか?」「どんなところが好きですか?」とあらゆる回答の幅を与えるオープンクエスチョンだ。

前者のクローズドのほうがより答えやすく、相手に「YES」と言ってもらう質問を投げかけることで、最終的な目標にも「YES」をもらいやすくなるメリットがある。ただ、相手が自由に回答をしないぶん、ときに追い詰められるようなニュアンスを感じる人もいる。後者のオープンクエスチョンのほうが会話は広がるし、相手の嗜好などもとらえやすい。和田さんは、この両者を上手に使いわけることで、潜在的な相手の気持ちを引き出し、能動的に相手が動けることを促すコミュニケーションスタイルのようだ。

「その人の人生に触れながら、なにが大切なのかを一緒に本気で考えていきます。そして、行動した未来、行動しなかった未来を想像してもらって“ドキッ”とし、自分の中にある気持ちに素直に向き合えたところで背中を押してみます。

私はこうした相手と向き合い関わっていく形の営業が好きですし『ありがとう』と感謝してもらえることにやりがいを感じるのです。強引なセールスは必要ありません」

その製品が相手の人生にどんな影響をあたえるか……。一緒に本気で考えた上で、「ドキッ」とさせる言葉を投げて背中を押す。そのためには、まずは自分を受け入れてもらい、相手の内面にある“現実と理想のギャップを埋める”答えを上手に引き出すコミュニケーションが大切なのだ。

【関連記事】
スイートスポットをついて人を動かす方法論
商談を成功させる最初の質問
なぜ、あの人のプレゼンに誰もが耳を傾けるのか
なぜ顧客はあの人に気を許すのか
営業「日本一 vs 世界2位」クロージングの決めゼリフ