1995年の阪神淡路大震災。倒壊した高速道路やビル、広範囲に延焼が続く木造住宅密集地など凄惨な写真や映像を見て、多くの問題点が指摘され、新たな防災対策も展開されてきた。しかしながら、率直にいって住民の防災意識は継続していたであろうか。東京都板橋区の防災課長田中光輝氏は、こう述べる。

「東日本大震災が起きて、自分の避難所はどこですかというたくさんの問い合わせがありました。長年、近くの小中学校が避難所と広報してきたのですが、住民への周知が徹底していませんでした。防災意識が高い今、初歩的な防災知識を覚えてもらうチャンスと捉えています」

個々人が防災に対する知識を高め、いざというときの行動を考え準備しておく。個々人の意識改革がなければ被害を最小限に留めることはできないであろう。自分がこれから住もうとする自治体の防災力(防災対策)を調べる。大震災時の避難ルートを複数考え、例えばそこにブロック塀や崖がないかなど想像力を駆使してシミュレーションしてみる。家族との連絡方法や集合場所を決めておくなど、個人でできることは多く存在する。防災意識をしっかりと持ち、その準備をするかどうかが、大災害時のあなたや家族の運命を決める最大の要素といえる。

最後に、地域の防災情報を簡単に手に入れる手段をお教えしたい。自治体によって呼称が違うが「安全・安心メール」と呼ばれるものだ。(区・市などの)自治体のホームページにアクセスし登録すると、当該地域での防災、気候、事故、不審者などの情報がメールへ送られてくる。これから住もうとする地域を登録しておくのがよい。もちろん、頻繁にメールが送られて、防災意識が下がらないように注意も必要であり、情報の選択が大切だ。

(※文中肩書はすべて取材当時)

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