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わが子を億万長者に育てるための手段は、新NISAだけではない。 ファイナンシャルプランナーの田中香津奈さんが、資産形成のために役立つ商品として挙げてくれたのは、保険だ。もちろん、新NISAは長期投資による資産形成、保険は死亡や病気などの万一への備えと、主目的は異なる。しかし、保険の中には、それに加えて資産形成が可能な商品があるという。新NISAと保険、どのように使い分けたらいいのだろうか。

「新NISAだけで大丈夫?」そのココロは……

「『新NISAの口座を開設し、運用するファンドも選んで、資産形成をスタートすることができました。なので、保険には入りません』と言う人が増えています」と田中さんは話す。

新NISAは、長期の積み立て投資を後押しする制度設計となっているが、病気などで余裕資金がなくなると積み立てを継続することが難しくなる。「こうしたケースを想定して、新NISAに『資産形成と保障の両方を兼ね備えた保険』を組み合わせることを考えてみては」(田中さん)

保険というと、「医療保険」や「定期保険」といった商品から掛け捨てをイメージする人も多いだろう。だが、保険には運用と保障を兼ね備えた「変額保険」という商品もある。運用益が期待できるだけでなく、万一の時は保険金という形で保障の機能を果たし、資金が必要な状況では一部払い戻しも可能だ。「新NISAと変額保険を別々に考えず、一つのテーブルに乗せて使い分けることが重要」だと田中さんは力説する。

この変額保険は、支払う保険料の一部を株式や債券などで運用し、その実績に応じて積立金や解約返戻金などの額が変動する保険商品だ。保険期間中の死亡や三大疾病(一般的には、がん・心疾患・脳血管疾患)といった病気の保障は、契約した保険金額を下回ることがない。契約後、すぐに不測の事態が起きたとしても、この金額を受け取ることができる。一方、新NISAは長期で資産形成することを前提とした制度なので、始めたばかりの段階では、備えとして足らない状態といえる。

払い込み免除特約が付けられるのも新NISAと異なる点。三大疾病にかかったら、それ以降の保険料は払わなくてよく、保障を得ながら資産形成が継続できる。また、死亡や病気だけでなく、要介護状態になった場合に保障が受けられる。「いろんな病気やアクシデントが起こりうることを理解したうえで、それでも『新NISAだけでいいです。定期保険だけでいいです』と判断するのはOKだと思います。迷うなら、将来への積み立て予算のうち、一部は変額保険に、一部は新NISAに振り分けるのも手です」と田中さんは提案する。

新NISAと変額保険、特徴を理解して
上手に使いこなそう!
新NISA制度と変額保険の比較
新NISA 変額保険
説明 NISA口座で、年間で決められた上限金額以内で投資した金融商品から得られる利益が非課税になる国の制度。 保険契約者の支払う保険料を、保険会社が投資信託などを対象とする特別勘定で運用し、死亡保険金額や解約返戻金、満期保険金の額がそれに応じて変動する生命保険商品。
死亡保障 なし あり
手数料 運用に関する費用などがかかる。 運用に関する費用、保険関係費用などがかかる。
中途解約 可能 可能。契約後、一定期間は解約控除と呼ばれる解約手数料がかかる。また、解約返戻金に最低保証がない。
主な目的 長期にわたる資産形成 保障と運用
投資する/支払う
お金
総枠1,800万円 各保険会社の引受金額上限まで可能
FP・田中香津奈さんより 新NISAは投資のため、資産が減るリスクがある。また、必要なときに必要な金額が準備できないということも考えられる。 保険は契約した時点で保障を受けられ、死亡や病気といった不測のリスクに対応できる。保障は契約した保険金額を下回ることはないが、満期保険金には最低保証がない。
※田中香津奈さんの話をもとに編集部作成。

新NISAは収益が非課税である点が、その魅力の一つだが、所得控除は使えない。一方、変額保険は生命保険料控除の対象になるので、節税しながら資産形成が可能となる。「学生でも扶養を外れるほどバイトで稼いだり、社会人になって所得税・住民税がかかるようになったりすると、ふるさと納税を利用する人も多いですが、生命保険料控除の活用を見据えて、変額保険を資産形成の一部として取り入れることも検討してほしい」と続ける。

子ども名義のお金を殖やしつつ、金融教育も行える

田中さんのところに、「子どもが中学校で投資に関する授業を受けて関心を持ち、自分が持っている預金を投資したいと言っているが、どうしたらいいか」と相談に来た親子がいたそうだ。18歳未満は、新NISAの口座を作ることができない。「このため、未成年者が非課税での投資を考える際には、変額保険の活用をご提案しています。子どもの名義で加入できるのがメリット」だという。

18歳未満の子どもの資金で非課税投資を行う場合、2023年までは「ジュニアNISA」がその受け皿となっていたが、制度終了に伴い、積み立て先に悩んでいる親御さんも少なくない。 「子ども名義の預貯金を親の口座に戻して新NISAの資金にするのも抵抗がある」「子ども名義の預貯金があるが、10年以上使わないと休眠口座になるので、なんとか活用したい」。そんな悩みを解決してくれる金融商品の一つが、ソニー生命の「変額個人年金保険SOVANI」だ。

SOVANIは運用実績に応じて年金額等が増減、積立金が死亡給付金額となるので、大人とは異なり死亡保障の必要性が低い子どもにも適している。保険料の運用は、ソニー生命が厳選した16種類の選択肢(特別勘定)から最大8種類を選択できる。新NISAの「つみたて投資枠』では、金融庁が厳選した約250本の対象商品から投資商品を選ぶことを考えると、選択の幅が狭い分、親子で一緒に選びやすい。

「新NISAの成長投資枠でも購入が可能で、運用実績も高い『モルガン・スタンレー グローバル・プレミアム株式オープン(為替ヘッジなし)』を運用するチームが、同様の運用哲学で投資を行う投資信託『グローバル・クオリティ・ファンドSL』なども選べます」と田中さん。運用状況はwebサイトで確認することができるので、リアルな金融教育になるという。

ただ、保険の場合は、短期で解約すると解約手数料(解約控除費用)がかかってしまう。例えば前述のソニー生命のSOVANIは、加入から7年未満だと解約控除費用がかかる点に注意だ。「すぐに使う予定のない、将来に向けた資産を作るために、変額保険の活用を検討してみては」と田中さん。

新NISAで資産形成をしても、不測の事態が起こった場合にはそれを取り崩す必要も出てくる。しかし、その分を保険でカバーできていれば、新NISAでの資産形成を継続することができる。田中さんは「新NISAと保険の両方を取り入れることで、資産全体の手取りが増えることも考えられる。どちらか一方だけとこだわらず、自分の資産状況やライフプランに合うよう、うまく組み合わせてほしい」と話す。

子どもを億万長者に育てるには、親が子ども名義のお金を作るだけでは事足りない。本当に必要なのは、親も子も資産運用に対する知識と経験を有することだ。その手段の一つとして、保険の活用を検討してみてほしい。

(田中香津奈=取材協力、大井明子=構成)