頭の中を簡単に整理できる

ある合格者は自分の知っていることをChatGPTに打ち込み、要点をまとめてもらうことで、知識の整理を行なっていたそうです。現在の生成AIは、質問をすると誤った情報を伝えてくることも多く、0から知識を得るためのツールとしては残念ながら十分に信頼できません。しかし入力された情報をまとめて体系的に整理することは非常に得意であり、自分の脳内を整理することに長けています。

この合格者の場合は、学んだ化学の知識を入力することで、要点をまとめてもらっていたのです。いわば“いつでも見返せて、大事なことが一瞬で理解できるノート”です。

また、別の合格者は生成AIを用いて面接の対策を行なったと回答しました。医学部の受験では面接が課されることも多いのです。AIに面接官役となってもらい、状況を詳しく設定して想定される質問を出してもらうことで、実際の面接のシミュレーションができるというわけです。自分ひとりの頭で考えていては気づけない視点から意見をもらうことができたそうです。まさに「壁打ち」の相手として、生成AIは非常に有力だと言えるでしょう。

スマホ画面に表示されたChatGPTアイコンをタップしようとしている手元
写真=iStock.com/alexsl
※写真はイメージです

AIに使われるのではなく、どう使いこなすか

一方で、生成AIは「膨大な学習データに基づいて新しい情報や回答を作り出す人工知能」です。なんでも聞けば教えてくれるので非常に便利な反面、誤りや偏りが含まれることもあり、何も考えずに使えば危うさも伴います。

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実際、私たちが接する保護者や生徒の中には、「とりあえずAIに聞けばいい」と、なんでもAIに頼る癖がついている人が、最近は急速に増えているように感じます。しかし、それは裏を返せば「自分で考えることをやめる」ということ。そういう使い方では、かえって学力が下がってしまうおそれがあります。

生成AIを学習ツールとしてうまく使っていくためには、「これは違うかも」と判断できるだけの基礎知識や思考力が必要です。その努力は怠ってはならないのだと思います。

今回取材した東大理三の合格者たちは、生成AIを“正解を教えてくれる存在”とは考えていませんでした。まずは自分の頭で考えたうえで、問題の提案を得たり、フィードバックをもらったり、知識を整理したりと、あくまでも「補助役」として活用していました。

ChatGPTやGeminiなど、生成AIは急速に身近なものになっています。ただ質問すれば答えてくれるツールとして使うのではなく、「参考書で学ぶ」「ググって調べる」だけでは得られない“自分の思考を深める”ための新たな学習ツールとしての活用することが求められているのだと思います。AIに使われるのではなく、どう使いこなすか。これは、これからの受験生の新しいスタンダードになっていくのかもしれません。ぜひ、参考にしてみてください。