頭のいい子が育つ家庭と、普通の家庭では何が違うのか。東大生作家の西岡壱誠さんは「東大生の家庭は、スマートフォンとの向き合い方がまるで違った。際限なく自由に使える環境であれば、成績が下がるのは避けられないだろう」という――。
スマホを見ている女の子
写真=iStock.com/Hakase_
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「スマホ認知症」が注目されている

「最近、うちの子、全然勉強に集中できないんです」
「スマホをいじってばっかりで、学力が全然伸びなくて……」

保護者の方とお話ししていると、そうした声をよく耳にするようになりました。教育現場で生徒と接していても、ここ数年、明らかに「思考の粘り」や「集中の持続時間」が落ちていると感じることがあります。そしてその背景にあるのは、「スマホ認知症」呼ばれる現象だと考えられます。

「スマホ認知症」という言葉がここ最近、メディアでも注目されています。TBSのニュース番組でも取り上げられていました。医学的には正式な診断名ではないものの、スマートフォンの過剰使用によって記憶力・注意力・思考力などの“認知機能”が低下する状態を指す言葉として、教育・医療の現場では警鐘が鳴らされています。特に若年層、学校に通っている児童・生徒においては、「スマホ依存」と「学力低下」が結びつくケースが顕著です。

集中力を妨げ、思考力の育成を阻害する

実際、自分が指導している生徒たちでも、スクリーンタイム(1日のスマホ使用時間)が4時間を超える層は、成績が伸びにくい傾向にあります。もちろん一概に断定はできませんが、長時間スマホを手放せない生活が、集中力の妨げとなり、思考力の育成を阻害している可能性は高いと考えられます。今回の記事では、子どもを「スマホ認知症」にしないためにどうすればいいのかについて、お話しさせてください。

まず、スマホで遊んでいるばかりいる子はなぜ学力が伸びなくなってしまうのか、ということについて、自分は3つの分析をしています。

【1 情報を主体的に取りに行かなくなる】

今、YouTubeやSNSなどのコンテンツは「勝手に進んでいく」形式が主流です。YouTubeのショートでも、Xでも、TikTokでも、上下に「スワイプ」するだけで、勝手に新しい情報が入ってきます。本を読んでいる時にページをめくったり、タブレットでボタンを押したりするのとは違って、ほぼ無意識的に、勝手に情報が入ってきてしまうわけです。