特定の病気のある人も要注意
そのほか「鎌状赤血球症」「遺伝性球状赤血球症」「地中海性貧血」といった赤血球が壊れやすい病気の人、「急性骨髄性白血病」「悪性リンパ腫」「多発性骨髄腫」といった赤血球を作る機能が低下する病気の人、免疫不全のある人も、リンゴ病に感染しないよう特に注意しなくてはいけません。
先に述べたように、ヒトパルボウイルスB19は赤血球減少を引き起こします。ただ、健康な人の場合、赤血球の寿命は120日と長いので、一時的に赤血球が作られにくくなって数が減っても、すぐに造血能が戻って貧血はひどくなりません。ところが、もとから赤血球が壊れやすく赤血球産生をたくさん行わないといけない人や赤血球を作る機能が弱い人は、重症貧血になりやすいのです。
また、免疫機能が低下している人は、どんな感染症でも長引いて重症化することがあるので、リンゴ病に限らず注意が必要です。しかも、免疫機能が低いとウイルスを排除するまでに時間がかかるため、やはり重症貧血になりやすくなります。
重症貧血になると、脈拍が早くなったり、顔色が悪くなったり、倦怠感が出たりします。乳幼児や高齢者だと、自分で倦怠感があると言えないこともありますが、活動性は低下するでしょう。様子がおかしいと思ったら、小児科や内科で相談してください。血液検査でひどい貧血どうかを調べたり、ヒトパルボウイルスに対する抗体を調べたりするかもしれません。
「リンゴ病」の感染を防ぐには
以上のようなリンゴ病にかかるとリスクが高い人は、流行がおさまるまでは、できるだけマスクをしましょう。一番多いのは5〜9歳、次に0〜4歳に多い病気です。普段から3密を避け、外から帰ったらうがいや手洗いをしましょう。
顔が赤くなってから予防しても間に合わないので、熱が出たり風邪症状が出たりといったリンゴ病の初期症状があったら、うつし合わないように家族は飛沫感染対策をしましょう。2歳以上のお子さんは、家の中でもマスクをします。保育園や幼稚園で流行していて、風邪症状が出てきたらなおのこと注意が必要です。妊婦さんが明らかにリンゴ病にかかったら、産婦人科の主治医に相談します。追加でエコー検査を行うなど、赤ちゃんの状態を注意して診てくれるはずです。
NHKの「感染症データと医療・健康情報」というページを見ると、お住まいの地域でどんな感染症が流行っているか、リンゴ病の流行が落ち着いたかどうかがわかります。日本中の定点で報告数がどうかという情報は、国立健康危機管理研究機構感染症情報提供サイトが一番早いです。
通常、一度でもリンゴ病にかかったら、再びかかることはありません。日本の18〜45歳では、B19の抗体保有率が71.3%だったという調査結果があります(※1)。それでも、妊婦さんや基礎疾患のある人に感染症をうつさないに越したことはありません。少し体調が悪いなという人は、ぜひ飛沫を飛ばさないようマスクをしたり、人と密にならないようにしたり感染対策をお願いします。
※1 大阪健康安全基盤研究所 21.大阪府における妊娠適齢期層でのヒトパルボウイルスB19抗体保有率の調査


