親からは「障害児扱いするな」と言われ…

さて、事例検討会では女性教諭に私が質問します。

「先生は、この男子生徒の、どのようなところに困っているのですか?」

「気に食わないところがあると、教室を飛び出してしまいます。叱っても、その場では『はい、わかりました』と言うんですけど、反省はしていないようです。保護者に特支を勧めたんですけど、了解してもらえませんでした。お子さんを理解するためにも、病院へ受診して、それから教育センターなどで知能検査を受けることも提案したのですが……」

「そうしたら、親御さんはどうおっしゃいましたか?」

「うちの子を障害児扱いしないでほしいって」

この女性教諭の気持ちも親御さんの反応も、よくわかります。そのうえで「たいへんですよね」と教員に伝えます。

先生と園児がダンスの練習
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背景にある「大人の余裕のなさ」

発達障害だと思われる子が増えていく一方で、それを受け入れる体制が追いついていないのが現状のようです。そこには、人手不足や教員の過重労働などの問題もあるでしょう。発達障害のある子への理解を深めるのも大事なのですが、教員側にメンタル上の問題があったら身も蓋もありません。

実は、こうした「余裕のなさ」から、子どもが発達障害と見なされるケースは少なくないと筆者は感じています。それは教師だけでなく、親も同じです。

たとえば、子育てに毎日追われている親がいるとします。上の3歳の子はイヤイヤ期真っただ中で、下の子は生まれたばかりで手がかかります。そんなときに上の子が「いやだ! いやだ! ママじゃないといやだ! ぼくも(わたしも)抱っこして!」などと激しく訴えたら、「なんでこの状況をわかってくれないの? 大人しくしていられないの? こんなに通じないのはなにかの障害があるかも……」という発想になってしまうのは想像にたやすくありませんか。

特に現代では、ルールを守れない・言いつけを聞けないなどの理由を説明する材料として、真っ先に発達障害が挙がってしまうようです。