「あの子を特別学級に移したい」女性教諭の悩み
「正直、授業の妨げになるので、(情緒障害の)固定学級に移ってほしいです。修学旅行にも、連れていきたくないです。こちらの手が煩わされることが目に見えているので……」
事例検討会で、そう話すのは若手の女性教諭です。彼女は担任している中学3年生の男子生徒のことを相談しています。
まず、簡単に特支について触れていきましょう。特支は、その子の障害や程度にあわせて「特別支援学校」「特別支援学級」「通級による指導」に分かれています。特別支援学校は、生活上の困難が大きい子が通う場合が多いと言えば、ご想像いただけるでしょうか。教育のほかに介助や医療的ケアなどが必要な子が通うところで、よく送迎バスを見かけることがあると思います。
次いで特別支援学級ですが、これは通常の学校の中にあります。みんなと同じように通学しますが、クラスは通常学級とは別に設けられています。多くは少人数制のクラスになっていて、専門の教員が児童・生徒の障害に応じて対応しています。
最後の通級による指導ですが、ここに通う子たちは通常学級に在籍しながら週に数回、部分的に本人に合った授業を受けています。担任は通常学級の教員が担います。先ほど女性教諭が相談した生徒はこのケースでした。だから、ほかの子とくらべると「手が煩わされる」と感じ、女性教諭は担任から外れたい気持ちがあって「固定学級に移ってほしい」と話したのでしょう。
教員の本音から見える「特支を勧める理由」
筆者は事例検討会で子どもの様子を細かく聞き取ることをしますが、同時に教員の気持ちを確認することもします。障害があるかないかの可能性をジャッジして適した支援につなぐのも筆者の大切な役割ですが、それ以上に、実は教員の気持ちを聞くことも軽視できません。
これをすると教員の本音が出てきて、子どもが真に発達障害があり、困りごとを抱えていそうだから特支を勧めたいのではなく、子への感情が判断に影響しているケースがあるのもわかってきます。
子どもに「手が煩わされる」から特支を勧めたいと感じてしまう教員は、生真面目で一生懸命な方が多いようです。授業を進行させたい気持ちが強いのが感じられます。
補足ですが、親に特支を勧めて思わぬ反発に遭った教員や、反対に教員から子の特支を勧められて嫌な思いをした親御さんがいらっしゃるでしょう。その場合、おそらくは教員から子への陰性感情が親に伝わってしまったのだろうと思います。

