一方的に「ダメ!」と決めつけない
たとえば「現状維持バイアス」。これは、新しいものや変化を受け入れられず、今のままがいいと考える心理です。「同調バイアス」は、他人と同じ行動をしたくなる心理です。「内集団バイアス」は、自分の家族が一番正しい、自分は日本人だから日本が一番、という風に、自分が属する集団が他より優れていると思い込むバイアスです。
このように、認知バイアスはあらゆる場面でゼロイチ力とは真逆の心理作用をもたらします。しかも、無意識にそうなるので自分でコントロールするのが難しいのです。
まず、他人との比較や、過去へのこだわり、自分は正しいといった思い込みを捨てましょう。そのうえで、子どもがやることを一方的に「ダメ!」「それは違うでしょ」と決めつけないことです。いったん子どもにやらせてみて、続けたいかどうか理由も含めて聞いてみることが大切です。
親世代と子世代のギャップを埋める
⑤変化を受け入れる
急成長していて変化が目覚ましい海外の国を訪れると、日本人は変化が苦手なのではないかと感じます。日本が世界に遅れをとった原因は、テクノロジー活用教育の遅れが大きいと危機感を持ったのも、2013年頃から海外の教育事情を視察しはじめたときでした。
アメリカやヨーロッパ、中国、インド、エストニア、フィンランド、シンガポールなどで、1人1台のタブレットとWi-Fi環境を整えた学校が急増しているとき、日本の学校はまだ板書授業をしていました。
日本人の基礎学力は今も高いほうなので、「なんでテクノロジーを使う必要があるのか?」と首をかしげる学校関係者も少なくありません。しかし、文科省のGIGAスクール構想がコロナ禍で推進され、日本もようやく全国の児童生徒1人1台のタブレットとWi-Fiの整備が行われました。
今の子どもたちはデジタルネイティブと言われるように、生まれたときからスマホやタブレットが身近にある生活をしています。デジタル世代にとって不可欠なツールを、大人の古い価値観で奪ってしまったら、学校と社会の環境の違いに子どもは混乱します。
目まぐるしく変化する社会に子どもたちが適応する力を育てるためには、まず大人が変化を受け入れて正しい知識を学ぶことを意識しましょう。「わからないから、やらない」ではなく、「わからないから、調べてみよう。やりながら考えていこう」と発想を切り替えてみてください。


