気づいた子どもへの理想の声かけ

スティーブ・ジョブズも、大学のキャンパス内に貼られていたポスターのカリグラフィーの文字の美しさに気づき、専門知識を学びました。当時は、その学びが何かの役に立つとは考えもしなかったわけですが、その10年後に設計したコンピューターにカリグラフィーの知識を注ぎ込み、美しいフォントを持つマッキントッシュが誕生しました。

子どもが発見する点はごく些細なものかもしれません。けれども、そこに素晴らしいアイデアの種が埋もれているかもしれないのです。

子どもが何かの「不」に気づいたら、「よく気がついたね!」「よく見ているね!」とたくさん褒めてあげてください。そして「なんでかな?」「どうすればいいかな?」などと問いを投げかけて、話を広げてあげましょう。

黒板に描かれたカラフルなたくさんのはてなマーク
写真=iStock.com/Professor25
※写真はイメージです

小学生の息子が発見した「電線の謎」

③好奇心を広げる

もともと子どもは好奇心の塊です。でも、学校や塾や習い事でやるべきことに追われていると、好奇心を発揮する機会が減ってしまいます。これはとても残念なことですね。予定を詰め込みすぎず、子どもの時間に「余白」を持たせることを意識したいものです。

親も気づいたことがあれば「なんでかな?」と子どもに問いかけてみると、「大人でもわからないことがあるのか」「だったら自分でも考えてみよう」と、子どもの知らないことにポジティブに向き合えるようになるでしょう。

私は、息子が小学校低学年の頃、「今日、新しく発見したことを3つ教えて」と毎日、尋ねていました。新しいことといっても、「今日はいつも歩く道にタバコの吸い殻がいっぱい落ちていた」とか「鳩が寄ってきた」とか、何でも気がついたことでいいのです。

また、このようなこともありました。子どもが帰宅すると「電線がたくさんあるところとほとんどないところがあったよ」と話してくれたのです。

後日、子どもと一緒に歩いてみると、自治体の行政区分が異なり、それによって電線が地上にある場所と地下にある場所があったのです。子どもは行政区分なんてわかりませんが、電線のある/無しから、町がどのように成り立っているかという話まですることができました。