1つの疑問から問いや気づきへと繋げる

無印良品のWEBサイトを確認すると、茶色のティッシュペーパーは竹100%で、紙が茶色いのは「漂白工程を省いているため、素材そのものの色を残しているからです。また、柔軟剤などの薬品を使用していないため、多少のごわつきがある素朴な風合いを楽しんでいただけます。だからこそ環境にやさしい」と書かれています。

この説明から、「そもそもティッシュは何からできているのか?」「どんな木から作られているのか?」といった新たな問いや気づきが生まれます。「環境にやさしいってどういうことだろう?」とSDGsの問題まで話を掘り下げることもできるでしょう。

1つの質問から会話を広げるか広げないかで、子どもの好奇心も変わっていきます。こういう小さなきっかけによる気づきがゼロイチ力にはとても大切なのです。

身の周りの「不満」「不便」「不安」は重要

②「不」に敏感になる

リクルート社主催で高校生が斬新なビジネスプランを競い合う「高校生Ring」というプログラムがあります。この高校生Ringへの参加を検討している生徒たちに配布している「Ring NOTE」という2024年版ワークブックの表紙のキャッチコピーは「小さな気づきが、世界を変える。」です。

この中で「高校生のあなたへ」と題して、次のようなメッセージを伝えています。

いまどこでこれを読んでいますか?
周りには何が見えますか?
今日はどんな1日ですか?
あなたの生きている世界で、あなたが感じた気持ちや違和感。
こんなのあったらいいな。もっとこうだったらいいのに。
周りの誰も気づいていないけれど、あなただけに見える密かな発見。
私たちはそれを「半径5メートルの発見」と呼び、とても大切に考えています。

「高校生Ring」に寄せられるビジネスプランは、ほとんどが誰かの「不」を解消するモノやサービスのアイデアです。

たとえば、左利き用の道具が少ない生活に不便を感じていた高校生が考えた左利き用品専門の通販サイト。紙の楽譜だとみんなで読みにくく、書き込みも共有が難しいと悩んでいた音楽好きの高校生が考えた、みんなで共有できる見放題の電子楽譜。

このように、半径5メートルの身の周りの困りごとや不便や違和感に目を向けるだけでも、新たな気づきがあります。