進化の主役は「遺伝子」だと考えた

生物の進化については、18世紀にチャールズ・ダーウィンが提唱した「進化論(ダーウィニズム)」が長らく定説になっていました。しかし、本書で説明しますが、ミツバチなどいろいろな生物の観察をしていくうちに、説明のつかない現象が現れてきて、ダーウィニズムを一歩前に進めた理論として「利己的遺伝子仮説」が登場したのです。

利己的遺伝子仮説の革新的な点は、進化の主役は「生物」ではなく「遺伝子」だと考えたことです。ダーウィンは1匹1匹の動物や植物、すなわち「生物個体」が生存競争を繰り広げていると考えたのですが、利己的遺伝子仮説では、「遺伝子」が生存競争を繰り広げているのだと考えます。つまり、注目すべき対象を「生物」そのものから「遺伝子」に切り替えたのです。