親から教育費の援助を受けると贈与税はどうなる?

Q 私の親にお金を出してもらうの、ありですか?
A ありです! 教育費は1500万円まで非課税にできます

身内であっても、一定以上の金額を贈与すると税金がかかってしまいますが、課税なしで生前贈与する方法もあります。まとまった大きな金額を援助してもらうなら「教育資金の一括贈与」の手続きを。条件を満たせば、最大1500万円まで非課税になります。

・父母、祖父母など直系尊属からの贈与のみ
・受け取る子供(孫)は30歳未満
・金融機関等で教育資金管理契約を結ぶ
・教育費に使ったと証明できる領収書などを提出

といった条件があるほか、贈与を受けた子供(孫)が30歳になるまでに使いきれなかった残額が110万円を超えて入れば、贈与税が課されます。この制度は2026年3月末までの期間限定です(延長される可能性もあります)。

子供の習い事にどこまでお金をかけるべきか

Q 才能が開花するかも? 習い事を減らせません!
A 親の自己満足になっていないか、見つめ直しましょう

英会話、ピアノ、ダンスにプログラミング。小さなうちから習い事を始めれば、才能や適性を見つけてあげられるかもしれないという気持ち、よくわかります。

私もそんな親のひとりでしたし、子供の習い事にはずいぶんお金をかけましたが、その投資に見合った成果が得られたかというと……。

ピアノを習っている子のうち、将来、本気で音楽の道をめざす子はあまりいませんよね。幼少期から始める英会話も、ちゃんと一生ものになるかは疑問です。酷なようですが、子供時代に週1回通っている程度の習い事は、体験の一つとしては価値があるものの、将来に直結することはかなりのレアケース。その子の人生を支えるスキルになるほどのものが身につくわけでもないと、どんな親も薄々わかっているのではないでしょうか。

井戸美枝『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(講談社)
井戸美枝『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(講談社)

何が言いたいかというと、お金をかけるべきはそこじゃない! ということ。今どきのお稽古にかかる費用は月1万円以上が当たり前。周りのお友だちがみんなやっているからといって、家計のなかから無理をして習い事代を捻出していると、将来の大学進学へ向けた備えができなくなってしまいます。

夫一人の収入では当然足りなくなるので、妻が習い事代のためにパートを始めるケースもよくみられます。もっと習い事をさせたい→夫の収入だけじゃ足りない→パートで補填、という自転車操業のようなやりくりは、大変なわりに実はそれほど子供のためになっていないかもしれません。

お金の面では、目先の習い事代よりも、将来の大学進学に向けた貯蓄を優先すべきです。

井戸 美枝(いど・みえ)
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)

関西大学卒業。社会保険労務士。国民年金基金連合会理事。『大図解 届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください 増補改訂版』(日経BP)、『残念な介護 楽になる介護』(日経プレミアシリーズ)、『私がお金で困らないためには今から何をすればいいですか?』(日本実業出版社)など著書多数。