「この期間で一番安いタイミングはありますか」が正解
相見積もりを取って引っ越し業者を決めるのにはタイミングも重要。引っ越しのコストはほとんどが人件費であるため、社員を抱える会社側としては「作業をしていない時間を作らない」ことが経営の必須課題となる。「引っ越しの閑散期」もしくは「すき間」を狙うことが価格を下げるポイントだと髙倉さんは強調する。
「子どもがいる家庭の引っ越しは春・夏・冬の長期休みに集中します。特に学年が変わる3月がピークで、ゴールデンウイークまでが繁忙期です。ゴールデンウイーク明けから落ち着き始め、6月は暇。もう一つの閑散期は10月です」
実際にはこうした時期に都合良く引っ越せるとは限らない。また、年間を通して金曜日土曜日や月末は予約が多かったりする。大安などのお日柄にこだわる人も少なくない。髙倉さんによれば、「今週の土曜日に引っ越したい。先勝だから午前中にすべての作業を終えてください」などとピンポイントで依頼されても安くできる余地は少ない。
「繁忙期である3月であっても、『26日から30日の5日間ならば御社の都合に合わせられます。一番安く引っ越せる日時をご提示ください』などと交渉してみると良いでしょう。その日程の中ですき間があれば安くできます。相見積もりを取り始めるのは引っ越したい時期の1カ月~3カ月前ぐらいがおすすめです。余裕を持って交渉ができます」
「不要品無料回収」のチラシは危険
時間的な余裕を持って引っ越し準備を始めると他にもいいことがたくさんある。荷物の量を正確に把握して見積りを取れるだけではなく、不要品を廃棄して荷物を減らし、それだけ引っ越し費用を安くできる。
ただし、ポストに入れられる「不要品無料回収」的なチラシを安易に信用して連絡してはいけない。不法投棄をする業者が多いだけでなく、自宅にやってきたコワモテに「これは無料では持って行けない」と法外な回収費用を請求されたという話も聞く。髙倉さんは自治体による粗大ごみ回収サービスを利用することが最も安心かつ安価だと断言する。例えば東京都江東区では食器棚(高さと幅の合計が270cm以下)の回収費用は1300円。ネットか電話で回収日を予約し(江東区の場合は週2日)、コンビニで粗大ごみシールを購入して貼り、当日の朝8時までに所定の場所に置いておけば良い。こんな公共サービスがあるのだから利用しない手はない。