相見積もりは4社とれば十分!

とはいえ、相見積もりを取ること自体は間違っていない。髙倉さんによれば、大手の場合は相見積もりによって当初の提示金額より半額近くになるケースもある。その際、比較サイトを使うではなく、各社のホームページなどから自分で連絡すると良い。

「相見積もりは4社で十分でしょう。大手を2社、中堅を1社、うちのような地域密着の会社を1社入れるとバランスがいいと思います。その最安値で選べば、ほぼ間違いありません」

段ボールをひざにのせ、ソファーに座ってスマホを使用している男性
写真=iStock.com/wutwhanfoto
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引っ越し会社側からすれば見積りは生命線だ。実際の荷物量を慎重に推測し、引っ越し作業にかかる時間と人数を算出し、金額を顧客に提示する。高すぎると他社に競り負けてしまうし、かといって安く見積もり過ぎると赤字になってしまう。

客側として、見積りの取り方にはコツがあるらしい。荷物リストなどを送信する文面を丁寧に作成することだ。個人宅の場合は事前に業者が訪問して見積り書を作るような手間はかけられないため、オンラインでのやりとりで金額が決まってしまう。雑な記入をすると、「家具以外の荷物はダンボール20個ぐらいとか適当に書いてあるけれど、本当か? 実際に荷造りをしたら倍ぐらいはありそうな雰囲気だな」と思われてしまいかねない。

髙倉さんは「僕はメールの文面からその人の部屋の汚れ具合がわかります。特殊能力です!」と胸を張る。しかし、能力が不調のときもある。

「たまに間違えてしまい、現場に行った従業員から『荷物がトラックに乗り切りません!』と電話がかかってくることがあります。その場合は、僕が責任を持ってもう一台で応援にかけつけますが、特に繁忙期の3月4月は人手に余裕がないので見積りの間違いはできません」

特殊能力というよりも経験と必死さの賜物たまものと言えるかもしれない。なお、TMCは価格交渉に時間をかけられないため、最初から採算ギリギリの価格を提示することが多いという。引っ越し業者が安心して見積りを作るためには、客側ができるだけ正確な情報を伝えることが不可欠なのだ。

時間刻みで現場に向かう社員のためにも、荷物の見積もりは絶対に間違えられないと語る、たかくら引越センター代表の髙倉弘樹さん。
筆者撮影
時間刻みで現場に向かう社員のためにも、荷物の見積もりは絶対に間違えられないと語る、「たかくら引越センター」代表の髙倉弘樹さん。