保有期間中、利息に利息がつき元本が増え続ける複利効果
割引債の構造を図表2のグラフで説明する。

満期までに何年かを残した割引債を2025年3月7日に額面未満の金額(この場合は78.00)で購入した場合、満期に向けてドル建て価格は上昇し、約6年5カ月後の2031年8月15日満期時に額面金額=100となる。満期まで待って売却すれば、購入時の利回りがドル建てで確定することになる。
利回りの計算は次の通り。
(100/78)^(1/(6+161/365))=1.03901
すなわち、年複利利回り3.901%となる。
3.901%は複利利回りなので、国債を保有している期間中、利息に利息がつき元本が増え続ける複利効果が得られる。
日本の銀行の定期預金の利率は単利で、最大でも年利1.0%(1年満期)、1.25%(5年満期)なので、それに比べると表面利率が高いだけでなく、実質利率はさらに高くなる。
100万円を年利3.901%で6.4年間、複利ならば128万円に
ここで複利効果について説明しよう。
単利運用とは運用で得た利息をその後の運用に組み入れず、当初の元本しか利息を生まない形で運用することを言う。
それに対し、複利運用とは運用で得た利息を元本に組み入れ、利息がさらに利息を生む形で運用する方法である。
複利運用は収益が収益を生むので単利運用に比べ元本が大きく増加する。それを複利効果というが、運用が長期にわたれば、複利効果はさらに大きくなる。
100万円を年利3.901%で6.4年間、単利運用した場合と年複利運用した場合とを比較してみよう。
単利運用:
100万円×(1+0.03901×6.4)=124.97万円(100%)
複利運用:
100万円×1.03901^6.4=127.75万円(102.2%)
複利運用した場合は、単利運用の場合とくらべ、利息は100万円あたり2万7800円増加する。%ベースでみると、2.2%多くなる。
現在、日本の銀行預金には6.5年物で年利3.901%のものはないが、たとえあったとしても単利なので、複利運用の米国国債と比べると上記のような差があることになる。
それを表とグラフで示したものが以下の図表3だ。年数が大きくなればなるほど複利効果は大きくなることがお分かりいただけると思う。
