まだまだ背取りで稼げる商品のジャンル
10年ほど前までは、ネットオークションやフリマアプリを使った「背取り」が可能だった。とてつもない安値で出品された商品の価値を見抜いて仕入れ、それに解説と適正価格をつけて再出品するだけで、利益を得ることができたのだ。
こうしたビジネスに手を出す人が増えたので、最近では利ザヤを稼ぐことがむずかしくなっている。
しかし、目利きを仕事にすることは、リアルの世界ではまだまだ可能だと思う。たとえば書籍だ。
いま、古書店で買い取ってもらえる書籍は、発売されたばかりの人気作品だけだ。少しでも古くなると値段が暴落し、マニアックな専門書籍になると、そもそも買い取りが拒否されてしまう。店頭に置いても、いつ買い手が現れるかわからず、保管費用だけがかさんでしまうからだ。
ただし、それは都会に限った事情だ。いま田舎に行けば、空き家だらけで、家賃は限りなくゼロに近い。そこに仕入れた書籍を片っ端から並べていくのだ。
専門書はニーズは少ないが、いったん買い手が見つかれば、定価に近い価格、あるいはそれを超える値段で売れる。いまも断捨離ブームは続いているから、書籍の仕入れは、限りなくタダに近い対価で可能だ。
さらに、古書を店頭に並べて販売するだけでなく、時間ができたときに、「これは高値で売れる」と判断したものを、ネットサイトで売りに出してもいい。
こうした仕事をすれば、生活拠点を田舎に移すことが可能になるので、生活コストも大幅に引き下げられる。大都市で「ブルシット・ジョブ」に縛られるより、はるかに人間的だ。
ポケットティッシュも「カネの成る木」になる
実は、こうしたビジネスは書籍以外の分野でも十分可能だ。コロナ期、私が運営する私設博物館「B宝館」に、「コレクションを引き取ってほしい」という依頼が殺到した。
B宝館は、古物商の許可を取っていて、売店で中古のおもちゃも販売している。だが、それは来館者へのサービスとして行なっているもので、ビジネスとしてやっているわけではない。だから引き取りは、B宝館に展示のないものを寄贈してもらえる場合に限っている。原則として買い取りはしていない。
また、B宝館の展示対象ではない紙製のグッズは、そもそも引き取っていない。それでも、コロナ禍の期間だけで、段ボール300箱分は引き取った。断捨離を進めるなかで、どうしても思い入れのあるコレクションを捨てられず、その「終の棲み家」を求めた人が多かったのだ。
こうしたことを考えれば、種類や数量を限定せずに、少々の対価を支払えば、はるかに多くのおもちゃを集めることは十分可能だ。そうした仕入れができれば、あとは古本販売と同じビジネスモデルを展開することが可能になる。
さらに、ある程度のストックができたら、貸出ビジネスも可能になる。実は、B宝館の最大の収入源は入場料収入ではなくコレクションの貸出料だ。