生成AIの使い方で子供の学びは大きく変わる

デジタル端末が1人1台配られてスマホもある現在、家庭でも生成AIは当たり前に存在します。私が独自に調査したところ、高校生の半分以上が読書感想文に使っています。親はもちろん学校の先生も知らないかもしれません。そういう時代なのです。

そこで大切なのは使い方です。自分の学びを豊かにするために生成AIを使いこなすことができるか、ここに大きな違いがあります。

わが家でも、娘の夏休みの課題として読書感想文を書いたときにChatGPTを使いました。もちろん、娘の代わりに書かせたのではなく、まずは本人が感想文を書きました。それとは別に、課題図書をChatGPTに読み込ませて、さまざまなタイプの感想文を10本ほど作らせたのです。それを読むと、「こんな見方もあるんだ」「経験をこういうふうに投影すると広がりが出るな」などといった気づきがある。文章構成力は小学生よりChatGPTのほうが圧倒的に上です。

習字の例がわかりやすいですが、ヒトはものを習うときお手本を見て学びます。それは作文も同じ。生成AIを使えば、課題図書の内容と自分のプライベートな経験をうまく反映させた、整った文章の「お手本」を作ることができます。そのまま写すのではなく、表現や構成でうまいなというところをマネしてみる。それが学びになるのです。

実際には娘は最初に書いた感想文を修正しませんでした。それでも視野が広がったし勉強になったはずです。次に感想文を書くときには生かせるでしょう。

わが家では娘の“家庭教師”もChatGPTです。

宿題をやって解けない問題があったり、解説を読んでも理解できなかったりするときにたずねると上手に教えてくれるのです。タイピングをしなくても、スマホのアプリを起動して話せば、音声で答えてくれます。

先日は、飛鳥・奈良時代の大宝律令と養老律令とでは何が違うのかを聞いていました。そんなこと、私には教えられないですが、ChatGPTは上手に答えてくれる。「小学生がわかるように」などと指示すれば、易しく教えてくれる。教え方もうまいのです。

親だったら「何でわからないの」などと言ってしまいそうですが、「いい質問ですね」とポジティブに受け止めながら答えてくれる。ヒトと違って疲れることもないので、何度でもわかるまで付き合ってくれます。

生成AIはすさまじい勢いで進化しています。それでも、まだ人間とは会話のテンポも違うし、間違いを答えることもある。最初に試してみたときにそういう体験をしてイライラしてしまい、「こんなものは使えない」と“絶交”してしまう人がいますがそれはもったいない。

人間同士だって最初はクセがわからなかったりするけれど、付き合っているうちに仲良くなれますよね。それと同じで、どういうふうに問いかけると一番いい答えが返ってくるかというのは、付き合っているうちにわかってくる。娘も、だんだん聞き方がうまくなってきています。生成AIを使うことで、相手の気持ちを慮る力も養われると思っています(人の表情から感情を読むといった面は別でしょうが)。(以下、後編へ続く)