「ミー散乱」という現象

火星の大気は非常に薄く、主成分は二酸化炭素です。さらに、火星の表面は赤い砂で覆われており、重力が弱いために、この砂塵が風に舞って大気中に浮遊しています。

この細かい砂塵が太陽光を散乱する際、「ミー散乱」という現象が主に働きます。ミー散乱は、光の波長と同程度、またはそれ以上の大きさの粒子によって起こる散乱です。

ミー散乱では、ぶつかる粒子の大きさ等によって、主に散乱される波長は異なっていきます。ぶつかる粒子が小さければ青くなりますが、ぶつかる粒子が大きくなるにつれて赤くなります。やがてすべての波長の光がほぼ均等に散乱することで、太陽光のような白い光として散乱されます。

火星の大気中に浮遊する砂塵の粒子は、可視光の波長に近いサイズで、青い光よりも赤い光を強く散乱します。そのため、昼間の火星の空は赤みがかっているのです。一方、夕方には、地球の同じく光が長い大気の層を通過することになるので、赤い光が散乱され尽くし、空が青く見えるのです。

水星の空は真っ黒

他の惑星についても、探査機や観測データから空の色を予測できます。

金星のイメージ
写真=iStock.com/buradaki
金星のイメージ(※写真はイメージです)

例えば、金星の大気は厚い二酸化炭素と硫酸の雲で覆われており、光がほとんど透過しません。このような構造のため、金星の空は非常に薄暗くなっています。

ソ連のベネラ探査機によって撮影された画像から、金星の空はオレンジがかった薄暗い色であることが示唆されています。

オレンジがかっているのは、分厚い大気によって青や緑などの光が散乱され尽くしてしまうためだと考えられます。

水星のイメージ
写真=iStock.com/FlashMyPixel
水星のイメージ(※写真はイメージです)

また、水星には非常に薄い大気しかないため、光がぶつかる粒子がありません。散乱が生じないので空に色が生じず、空は黒く見えます。