「安全校」も受けないと、合格が遠のく

追い込まれた状況から、輝かしい逆転を見せる子もいるにはいます。しかし「わが子には逆転できるタフさがあるぞ!」と確信を持って言い切れるでしょうか? 日ごろ、明るい調子で何事も笑い飛ばすような男の子であっても、本番の不合格はこたえるものです。どうなるかわからないからこそ、安心を重視した受験日程にしましょう。

私の塾では、「2月2日までに、できれば2月1日のうちにどこか1校は合格を取れるよう受験日程を組むように」という話をしています。進路面談でも、その方針で受験日程を相談するようにしています。

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早めに合格を取り、安心した状態で、攻めの姿勢で入試を進められれば、模試では届かなかった偏差値の学校に届くこともあり得ます。私の指導経験でも、そのような「逆転合格」を目にしてきましたが、逆転合格した生徒に共通しているのは、受験日程の早い段階で合格を確保し、のびのびと実力を発揮し切ることができたという点です。

偏差値は“諦めるためのもの”ではない

ここまで偏差値表を下に広く見ること、安全を確保することを強調してきましたが、ぜひ上にも広く見てください。

菊池洋匡『中学受験 親がやるべきサポート大全』(SBクリエイティブ)
菊池洋匡『中学受験 親がやるべきサポート大全』(SBクリエイティブ)

「この志望校は今の偏差値より10も高いので、やめたほうがいいでしょうか?」
「この第一志望校、偏差値が足りないので諦めたほうがいいでしょうか?」
「偏差値が届かなかったら、この学校を志望するのはやめようか?」

というセリフを聞きますが、見切りを早くつける必要はありません。そもそも、皆さんが一番よく目にする偏差値表は80%偏差値でしょう。80%偏差値は「絶対はないけれど、だいぶ安心」というものです。他にも、50%偏差値というものも存在します。

50%偏差値は「本番、勝てるかどうかわからないけれど、勝負はできる」ということです。ここで、諦める基準として80%偏差値を使うのはおかしいですよね。「この学校の合格が確実ではないから、チャレンジ自体をやめよう」といっているようなものだからです。第一志望校の偏差値は、届いていないことのほうが普通です。恐れずチャレンジしましょう。

ただ、安心してチャレンジするには合格が必要です。80%偏差値で見たとき、自分の持ち偏差値が超えている学校を早めに受験することです。そうして「全落ち」のリスクを減らしておくのです。どこで合格を確保し、安全に受験を進められるようにするか――その答えを出すためにこそ偏差値を使うのです。