昨年末に閣議決定された高額療養費制度の自己負担額上限引き上げは、見直されることになった。税理士でマネージャーナリストの板倉京さんは「最終的な改正内容はまだ見えないが、この制度のルールを知らないでいると自己負担額に雲泥の差がでることになる」という――。
医療費の自己負担の割合
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がんの場合、一回の入院で100万円程度かかる

日本の「公的医療保険制度」のもとでは、患者は医療費の3割程度を負担すればいいことになっています。国保や会社の健保等に加入していれば、1万円の医療費がかかったとしても自己負担額は3000円です。

しかし、医療費が高額になると、その3割も大きな負担になってしまうことがあります。

仮に100万円の医療費がかかれば、3割負担なら30万円です。

100万円の医療費⁉と驚く方もいるかもしれませんが、たとえばちょっとした病気やけがをした場合でも思わぬ高額な治療費がかかることがあります。

たとえば、盲腸で手術・入院した場合の医療費は約50万~70万円、骨折での手術・入院では70万~200万円以上(中電病院HP手術費用等概算一覧表を参考)。

がんなどは、一入院で100万円程度かかると言われており、治療が長期にわたる場合など、医療費が家計に与える負担はバカにできません。

100万円の医療費が高額療養費制度で約8万8000円に

そんな時に使えるのが「高額療養費制度」。

年収に応じて一月あたりの自己負担額の上限が決められており、その上限を超えると超過分を払い戻してくれるというありがたい制度です。

この「高額療養費制度」を利用すれば、100万円の医療費に対して本人負担は約8万8000円(年収約370万円~770万円の場合)で済むのです。