信頼して待つことが大事

「勉強はしておいたほうがいいよ、あとあと役に立つよ」といった優しい言い方でも同じです。正論を言われると、子供は自分で考えなくなるのです。

「はーい、ママ」と従順に勉強する子もいれば、「うざいなあ」と不貞腐ふてくされてますますゴロゴロする子もいるでしょうが、いずれも親の言葉に反射的に対応しているだけで、「今、勉強しなければどうなるだろう?」と、自らの思考を働かせることにはなっていません。

その結果、前頭葉の発達が妨げられて「言われないと勉強しない」「言っても勉強しない」というフェーズがいつまでも続いてしまうのです。

成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)
成田奈緒子『子育てを変えれば脳が変わる こうすれば脳は健康に発達する』(PHP研究所)

「自分がうるさく言わないと、この子は勉強しないから」と思ってやることが、実は逆効果になっているのですから皮肉ですね。

ですから、言いたくなってもぐっとこらえて、子供に考えさせましょう。

そうしてこころの脳を鍛えていくと、あるときから子供の行動が変わります。

こころの脳がきちんと備わった子は、「漫画を読みたいな、ゲームしたいな、でも明日はテストだから今から勉強しないと」という風に、自制心や思考力を使って行動に移せるようになるのです。そのときをじっくり待つのも、親に必要な「自制心」かもしれませんね。