親も無意識のまま、子の空間認知能力に影響を与えている

就学前後で心的回転能力に見られる性差が拡大する理由の3つ目は、親の声かけです。これはあまりピンとこないかもしれませんが、とても重要であり、無意識にやってしまっていることなのです。

あなたが子どもと一緒にパズルで遊んでいる様子を想像してください。子どものパズルはピースごとに形がはっきりと違う場合も少なくありません。子どもがあるピースを持っているときに、あなたはどう声をかけるでしょうか。

たとえば、「そのピースは丸い形をしているよね」「そのピースはこっちのピースより大きいね」「そのピースのここの部分はちょっと曲がっているから、こっちのピースとお友達かもしれないね」「そのピースは、少しまわしてみたらいいんじゃない?」などと言っているかもしれません。

もしくは、子どもがレゴや積み木をやっているときに、どういう声をかけているでしょうか。「そのブロックはこのブロックのこの部分とくっつくんじゃない?」「お家をつくるには、そのブロックの上にこのブロックをくっつけて、その横に……」などと声をかけることもあるでしょう。

両親に見守られながらブロック遊びをする女の子
写真=iStock.com/Satoshi-K
※写真はイメージです

「言葉の発達は女児の方が早い」というのも思い込み

あまり意識することはありませんが、私たちが普段使っている言葉には空間に関するものが多数含まれています。形、大きさ、曲線、回転、組み合わせ、立体などは、すべて空間に関する言葉です。そして、このような空間に関する親の言葉がけは、心的回転能力の発達と密接に関連するようです。

空間に関する言葉には、子どもが発する言葉にも、親の発する言葉にも、性差があります。ある研究では、1歳から3歳までの子どもを追跡し、子どもの空間に関する言葉と親の空間に関する言葉がけの関係を調べました。

この研究で調べたのは、形、大きさ、形の特徴などの空間に関する言葉です。このような言葉を、子どもや親がどの程度発して、どのような発達を遂げるかを調べたのです。

この結果は非常に興味深いものとなっています。まず、子どもについては、2歳ごろまでには、空間に関する言葉の数や種類にも、空間以外も含めた全体の言葉の数や種類にも性差はありませんでした。言葉の発達は女児が早いという一般的な思い込みがありますが、これはあったとしても非常に小さなものです。