大金を払って遊女を身請けするときは、客は生国を知りたがった
このように廓言葉の導入は、客の夢を壊さないための経営手法の一つだったわけですが、客は遊女と懇意になるにつれ、やはりその出身地をも知りたくなってしまったようです。身請けのためにする起請文では、「生国は何といふ所の、誰が子にて御座候」と、遊女の出自をはっきり記したという史料も残ります。はじめは自分と別世界の天女を求めても、懇意になればその実際を知りたがったんですね。
残念ながら、遊女の生国を記した起請文はあまり今に伝わっていません。ただ、遊女評判記には少しだけ、遊女の生まれについての記載がみられます。
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