どちらかが死亡した際、両方の住宅ローンの残債がゼロに
通常の団信は、残債がゼロになるのは「亡くなった人の借り入れ分だけ」です。夫が亡くなったら、夫の住宅ローンの残債がゼロになりますが、妻は引き続き自分の住宅ローンを返済する必要があります。
ペアローン最大のリスクは、相手方が亡くなっても自分自身の住宅ローンの返済が残ること。1人になっても、家事・育児をこなしながら、仕事も当然行い、残りの返済をしなければならないのです。
その点、2024年6月から登場した「ペアローン団信」(ペアローン連生団信)では、夫婦どちらかが死亡・高度障害になった際に、両方の住宅ローン残債がゼロになります。毎月の家計から住宅ローンの返済がなくなりますので、残された家族の大きな安心につながります。
ペアローン団信は、住宅ローンの金利に上乗せして金利を支払うことで利用できます。主な金融機関の商品を見ると、
・みずほ銀行「ペアローン団信」:+年0.2%
・三井住友銀行「連生団体信用生命保険付住宅ローン『クロスサポート』」:+年0.18%
・りそな銀行「ペア一般団信」:加入時年齢が35歳未満+年0.15%、35歳以上+年0.25%
・PayPay銀行「ペア連生団信」(一般団信):+年0.2%
などとなっています。
また、各社がん保障特約をプラスした団信もあります(各社とも利用にあたっては審査を通過する必要あり)。
ペアローン団信の免除額は課税対象になる
多少の金利上昇はあるものの、ペアローン団信はメリットの大きな団信だと思うのではないでしょうか。しかし、ペアローン団信には非常に大きな落とし穴があります。それは、ペアローン団信で免除される「自分自身のローン残債額」は課税対象になることです。
たとえば、ペアローン団信を組んだ夫婦のうち、夫が亡くなったとします。このとき、住宅ローンの残債はゼロになります。しかし、妻自身の支払いを免除された「住宅ローン残債額分」に関しては「一時所得」として扱われ、所得税・住民税の対象になるのです。
具体的に、いくら所得税・住民税を支払わなければならないのでしょうか。一時所得の計算式は、次のとおりです。