米国のPFAS基準を達成できるフィルターも日本が強い

このクラレが販売している製品は、水処理用などに展開する石炭系活性炭「FILTRASORB」です。この製品の特徴は、石炭を数マイクロメートル(マイクロは100万分の1)レベルまで粉砕した後、固めて再び数ミリメートル程度に破砕することで粒子同士の隙間を確保し、表面と内部の吸着性能を均一に高めるという、非常に細かく高度な独自技術の結晶です。

こうした細かい技術は日本がお家芸だと思います。海外で規制が強化されてきたという中で、日本の技術が日の目を見る日が近づいていると感じます。

ほとんどのテーブルソルトにマイクロプラスチックが含有

PFASに加えもう一つの化学物質問題はマイクロプラスチックです。世界のプラスチック廃棄物は20年前の2倍になっています。日本も例外ではなく、東京海洋大の推計によると、東京湾には25トンのマイクロプラスチックが存在しています。

このままでは、2050年には海に流れ出してしまったプラスチックのゴミが魚の量を上回るともいわれています。これを何とかしなければいけないとINC5で議論しており、近々大きな国際的規制条約が締結される可能性があります。

マイクロプラスチックは多くのテーブルソルト(市販の塩)にも含まれていることがわかっています。コンビニエンスストアやスーパーマーケットで売っている塩を世界64カ所・154種類を調べたところ、マイクロプラスチックが含まれてなかった塩は2つしかなかったのです。

それだけマイクロプラスチックは世界中に滞留しています。その理由は分解年数が長いことです。WWFによると、釣り糸は600年経たないと自然分解しません。ペットボトルも400年、レジ袋でも20年かかります。プラスチックゴミがどれだけ分解されにくいかがわかります。

プラスチックゴミを世界最大に排出しているのはインドです。世界の5分の1を占めるといわれています。発展途上国の方がプラスチック消費量は多いですし、規制するのも難しいのです。