「皇位継承は人気投票ではない」という主張

悠仁さまは、皇族の数そのものが減少し、とくに男性による皇位継承が困難になってきているために皇室典範の改正論議が起こるなかで誕生された。それは、ご自身の責任ではまったくない。これほどまでに大きな期待や重圧を背負わされて誕生された男児は、これまでいらっしゃらなかっただろう。

また、将来の天皇にふさわしいのは誰かという問題が、潜在的にくすぶっている。そうしたなかでの「東大騒動」は、悠仁さまには荷が重かったのではないか。

これまで「愛子さまを天皇に」という声に対し、保守派は「神武天皇のY染色体を継承しているのは、悠仁さまなのだ」と答えてきたが、最近はさすがにこうした発言はほとんど耳にしない。代わりに言われているのが「皇位継承は人気投票ではない」という主張である。すでに「愛子さまのほうが人気がある」ということが前提とされているあたりに、保守派の苦悩が見える。国民の9割が女性の天皇を支持しているとなれば、なかなか状況は複雑である。

国民は愛子さまの成長を見守ってきた

しかし振り返ってみれば、愛子さまはずっと称賛されてきたわけではない。むしろ成人されるまでは、批判されるほうがはるかに多かった。

小さな頃は「笑わない愛子さま」といわれ、挨拶をモットーとする秋篠宮家に皇統を移すべきだと言われていた。雅子さまと一緒に皇室を出て行けとまでいわれていたのだ。静養先のオランダではじけるような笑顔を見せられていたら、「国内ではだんまりなのに、海外では笑うのか」と叩かれた。心無い批判に対し、宮内庁としては、絵本を読んだりお遊戯をしたりする愛子さまの動画を公開せざるを得なくなった。すると今度は、「絵本をスラスラ読んで暗記しているなんて、できすぎていておかしい」と叩かれた。大好きな相撲観戦にいけば、鼻をいじっている写真を週刊誌に掲載された。思春期には、激やせされたこともあった。

こうしたさまざまな批判のなかでも、愛子さまの姿はずっと私たちに届けられてきた。私たちがいま愛子さまを見て思うのは、「こんなに大きくなられて」という、まるで、成長した親戚の子どもを見るかのような思いだ。あれほど寡黙だった愛子さまが、しっかりと自分の言葉で喋り、笑顔を見せていらっしゃる。「だんだんお母さまの雅子さまに似てきて、美しくなられてきた」などの感想は、長い間、愛子さまの姿を拝見させていただいてきたからこその感慨なのである。