まずはオールマイティーなリストでいい

T恵さんは、改めて「理想の人リスト」を作ることにした。

ところが、「何を書いたらいいのかわかりません」と途方に暮れてしまう。恵まれた境遇に育った女性の中には、こういう人は意外と多い。自分から求めなくても与えられてきたから、一見欲がないのだ。けれど、人生を共にするパートナーに何も求めていない人はまずいない。具体的に考えたことがないだけで、「理想の人リスト」は必ずあるはずだ。

そんなT恵さんに勧めたのは、まずは誰にでもあてはまるオールマイティーなリストを書くこと。たとえば、「私の外見が好きな人」や「私の考え方が好きな人」。ほかにも、「五感の好みが合う人」「独身で彼女募集中! 結婚したいと思っている人」なども書くといい。

会議でメモを取る女性
写真=iStock.com/Mariia Vitkovska
※写真はイメージです

オールマイティーなリストから書き始めたT恵さんは、次第に自分の理想の結婚生活をイメージすることができるようになった。

20代からひとり暮らしで自由を謳歌しているT恵さんは、結婚して自分の時間を奪われることに強い抵抗感がある。子どももほしくない。そこで、「お互いに自分の時間を大切にできる人」「お互いの仕事を尊重して、応援しあえる人」「2人の生活を一緒に楽しめる人」という項目をリストに加えた。

年齢や年収などの希望がある場合は、具体的な数字を書く方がかないやすい。T恵さんは同世代の相手を希望していたので「35歳~45歳」とした。

ところが年収となると、裕福な実家で何不自由なく育ったT恵さんは具体的な数字を書くことができない。そういう場合は、その人と「具体的にどんな生活をしたいのか」をイメージして書くといい。T恵さんの場合は、「1年に一度は、2人で海外のリゾートで休暇を過ごしたい」「週末は外食をしてワインを楽しみたい」「ネコを飼いたい」などとイメージを膨らませていった。

「ほぼ理想通り」の相手の車は国産車

本心からの「理想の人リスト」を書いたT恵さんは、「本当にこんな人と結婚できたら幸せ!」とそれから笑顔を多く見せてくれるようになった。「婚活に疲れてしまった」と言っていた頃とは別人のようだ。

そして、半年もたたないうちに結婚相談所でほぼ「理想の人リスト」通りの相手と出会い、結婚が決まった。ちなみに彼は国産車に乗っていたが、T恵さんは「気になりません」という。

「婚活がつらい」「婚活に疲れた」と感じたときは、自分が「ウソつきリスト」にとらわれていないか振り返ってみることを勧めたい。理想の結婚生活をイメージすることは、「ぜいたく」でも「分不相応」なことでもない。

もしそう感じるなら、「自分には、理想をかなえて幸せになる価値がある」と何度でも言い聞かせる必要がある。理想の相手との結婚生活をイメージすると、それだけで幸せを感じられるものだ。

婚活は、結婚へのポジティブなイメージを持つことからスタートさせてほしい。

伊藤 友美(いとう・ともみ)
アラフォー・アラフィフ専門婚活カウンセラー

1970年生まれ、東京在住。約9年間の婚活中には、条件を下げたり、妥協を重ねることで「婚活ウツ」を発症。そこから研究を重ね、数々のワークを生み出し、実践。39歳から再開した婚活では、出会いから2カ月でプロポーズに至るスピード婚を果たす。自身の経験を通じて構築した〈最短最速で理想通りの男性と結婚する方法〉を伝える「3ヶ月で全員婚活卒業!婚活塾」は全国から参加の受講生で毎回即満席となる。受講生の成婚年齢は40代が一番多く、平均44歳。50代の成婚者も少なくない。結婚相談所Lulu Spacesの代表も務める。近著は『結局、理想を下げないひとが選ばれる』(フォレスト出版)。