次のパンデミックに備えるため、働き方の多様性を保つ
そんなふうに症状がしんどいときは、仕事をゆっくり休める環境であってほしいですし、治まってからも、リモートワークなどを上手く利用しつつ、できるだけ感染を広げないようにする。それが、私たちがコロナのパンデミックで学んだことではないか、と思います。
新しいウイルス、もしくは細菌によるパンデミックは、いずれまた起きると考えられています。そのときには、新型コロナ発生時のように「受診できない人」や「入院できない人」が出るという地獄のような医療体制にはしたくありません。
そのためには、平常時から、いかに感染症のリスクをリダクション(縮小)するか。働き方でも、在宅でも仕事ができるという多様性を作っていく、もしくは保っていくということが大事になってきます。たとえ、他人にうつさないように出勤しなくても、会社からの評価や給料は下がらないという仕組みも必要ですよね。
ですから、現在、流行しているマイコプラズマ肺炎でも、流行期に入ったインフル冤罪でも、社会全体の感染リスクを少しでも減らしていこう。そう、皆さんが考え実行してくれたら、感染症の医師としては、うれしいですし、次のパンデミックのときにこの考え方が浸透していれば、みんながパッと素早く行動を切り替え、適切な対処ができると思います。
小児科医。1998年富山医科薬科大学医学部卒業。淀川キリスト教病院、千葉県こども病院、長野県立こども病院などを経て、2016年より兵庫県立こども病院感染症内科の立ち上げにかかわり現在に至る。一般社団法人こどものみかた副代表理事。編著に『こどもの入院管理ゴールデンルール』(医学書院)、『HAPPY! こどものみかた第2版』(日本医事新報社)など。