抗生物質を処方されたら、最後まで飲みきることが重要

ただ、「抗生物質の適正使用」という問題があって、抗生物質は処方時に渡される注意書きのとおり、最後までちゃんと飲み切る。いったん熱が下がったら、薬を飲むのをやめてしまおうと判断する傾向がありますが、マイコプラズマはけっこうしつこく菌が残るので、気をつけてほしいですね。

熱が下がっても、体の中に菌は残っていて、咳などを介して他人にうつる。しかも、抗生物質を飲んだ後なので、それが、抗生物質が効きにくくなる耐性菌になってしまう可能性もあります。正しく飲み続けなければ、お母さん、お父さんにうつる頃には耐性菌になっているかもしれない。

ちなみに同じマイコプラズマという名ですが、性感染症のマイコプラズマとはまったく違う病気です。両方とも細菌の分類でマイコプラズマ属ではあり、治療薬は同じですが、交差免疫はなく、性感染症のマイコプラズマになった人がマイコプラズマ肺炎になりにくいということはありません。

マイコプラズマは妊婦さんが感染しても抗生物質が投与できますが、咳などの負担が体にかかるので、パートナーや周りの人が気をつけて、なるべくうつさないようにしてほしいですね。

一方、高齢者は比較的発症にしにくいと考えられています。つまり、マイコプラズマは子どもから40~50歳ぐらいまでの人に多い感染症で、まさに子育て世代を直撃しているわけです。

熱が下がれば通勤・通学可能になるが、マスクは必須

もう1点、気をつけてほしいのは、感染後、学校や職場に行く場合は、「咳エチケット」を守ってほしいということです。学校保健安全法では明確な出席停止はなく、発熱などの症状が治まれば登校して構わないと思いますが、当然、マスクは着けていく。不織布のものが現実的だと思います。もし、着けていないときに咳をして、手でガードしてしまったら、その手で電車のつり革などを触らないこと。

電車の中のマスクをつけた人々
写真=iStock.com/maroke
※写真はイメージです

完全に治るまで数週間、もしくは数カ月かかるので、ずっと休んでいるわけにもいかないですよね。周囲の人たちも「マイコプラズマでも、出勤できる」ということを理解する必要がありますが、逆に「出勤して当然」というふうにも思わないでほしい。

症状がひどい人は「ボーンブレーキング」(肋骨が折れるぐらい)と呼ばれるぐらいの強い咳が出ますし、咳をしながら吐いてしまう場合もある。気がついたら肺炎になっていて、胸のレントゲンを撮ると白い影が映るということになります。

ただ、肺炎を起こした人がみな入院しなければならないわけではありません。薬をもらって自宅で療養していればOKという場合が多いですね。