クレーム対応には迅速で誠実な対応が不可欠

「何とかしなければ大クレームになってしまう」と最初こそ、クレーム金額を抑えなければという気持ちがありましたが、いつの間にか、それは消えていました。

生駒正明『なぜかうまくいく交渉術』(秀和システム) 
生駒正明『なぜかうまくいく交渉術』(秀和システム) 

それよりも、「とにかく、取引先にこれ以上迷惑はかけられない」「できる限りのことをして挽回したい」という気持ちだけで動いていました。

結果的に、この対応を取引先が評価してくれて、お咎めなしになりました。

この経験から学んだことは、クレーム対応には迅速かつ誠実な対応が不可欠であるということです。問題が発生した際に、逃げるのではなく、全力で向き合い、相手の立場に立って行動することが大切です。

この失敗から得られた、クレームを起こしたときの対応のポイントは以下のとおりです。

迅速な対応 問題が発生したときには、すぐに行動を起こすこと、できるかぎりのことを行うことが重要です。時間が経つほど、相手の不満は大きくなります。

誠意を持った謝罪 問題を真摯に受け止め、直接会って謝罪することが必要です。電話やメールでは伝わらない誠意が、対面では伝わります。

具体的な解決策の提示 謝罪だけではなく、具体的な解決策を提案することで、挽回を図ります。どのように問題を解決するのか、具体的な手段を示すことが重要です。解決に向けての本気度は相手に伝わります。

相手の立場に立つ 相手が被る不利益を最小限にするために、全力を尽くす姿勢を見せることが大切です。相手の話をよく聞き、今からできるすべてのことを行うのです。信頼関係を取り戻す努力をするのです。

クレームが発生してしまうことは避けられない場合もありますが、その後の対応次第で、損失を最小限に抑えることができます。常に相手の立場に立ち、誠意を持って対応することが大切です。

POINT
・クレームを起こしたときのポイントは、「迅速な対応」「謝罪」「解決策」「相手の立場」。
・最も大切なことは「本気で、できる限りのことをすべて行うこと」によるリカバリー。
生駒 正明(いこま・まさあき)
ビジネス交渉コンサルタント

ビジネス交渉戦略研究所代表取締役。慶応義塾大学商学部卒業後、丸紅に入社。国内外1万件の交渉に携わった33年間を経て独立。総合商社の現場で培った交渉ノウハウを「交渉準備の7ステップ」に体系化し、交渉力強化により企業の売上や利益を劇的に向上させる”ビジネス交渉コンサルタント”。商社時代にプロライセンスを取得した元プロボクサー。著書に『ビジネス交渉力の鍛え方』、『なぜかうまくいく交渉術』がある。