マニュアル化で上司の負担を軽減する

また、その苦労を少しでも軽減する工夫も必要です。その1つがマニュアル化です。

新人が入社すれば一から指導が必要になりますが、基本的なことに関してはマニュアル化することで、指導の時間を節約できます。

藤田耕司『離職防止の教科書 いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』(東洋経済新報社)
藤田耕司『離職防止の教科書 いま部下が辞めたらヤバいかも…と一度でも思ったら読む 人手不足対策の決定版』(東洋経済新報社)

例えば業務の基本的な指導に10時間かかるとします。新人が入社するたびにこの指導をする場合、10人入社すれば100時間かかりますが、マニュアル化すればこの時間を節約できます。

このように一度マニュアルを整備すると、将来の累計節約時間は相当な時間となります。弊社もマニュアルを整備したことで、部下の指導にかかる時間が激減しました。

また、忙しい上司をつかまえて指導を仰ぐのは、部下にとってもストレスです。この点、マニュアルがあれば上司に指導を仰がずに済みます。こういった形で、人間関係のストレスを減らすこともできます。

ただ、「マニュアル見ておいて」と言って放置するのではなく、「わからないところは遠慮なく聞いてね」と一言伝えておくことも忘れないようにしてください。

藤田 耕司(ふじた・こうじ)
経営心理士、公認会計士

1978年徳島県生まれ。早稲田大学商学部卒業。2004年、有限責任監査法人トーマツに入社。2011年に同社を退社。2012年、藤田公認会計士税理士事務所(現FSG税理士事務所)を創設。2013年、経営と心理と会計のコンサルティングを行うFSGマネジメント株式会社を設立、代表取締役に就任。2015年、一般社団法人日本経営心理士協会を設立し、代表理事に就任。著書に『リーダーのための経営心理学』(日本経済新聞出版社)、『経営参謀としての士業戦略』(日本能率協会マネジメントセンター)がある。